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幻の科学技術立国

「科学技術創造立国」を目指してきた日本は、中国など新興国が急速に台頭してくる中で存在感を失いつつあります。現場を歩きながら衰退の原因を探り、再生の道を考えます。

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幻の科学技術立国

第3部 企業はいま/8止 新領域への対応鈍い日本 次世代太陽電池「ドーナツ化」

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ペロブスカイト太陽電池を開発した宮坂力特任教授=横浜市青葉区の桐蔭横浜大研究室で2017年9月、荒木涼子撮影
ペロブスカイト太陽電池を開発した宮坂力特任教授=横浜市青葉区の桐蔭横浜大研究室で2017年9月、荒木涼子撮影

 <科学の森>

開発者、中国厚遇に心揺れ

 「技術顧問になってほしい」。昨年11月、中国・上海を訪れていた宮坂力(つとむ)・桐蔭横浜大特任教授(光電気化学)に中国企業から声がかかった。宮坂さんは2009年、次世代太陽電池として期待され、世界的に開発競争が激化している「ペロブスカイト太陽電池」を開発した人物だ。宮坂さんの研究室に留学し、その後、中国に戻った研究者の紹介だった。

 ペロブスカイト太陽電池は、現在主流のケイ素系太陽電池に発電効率が近い上に安価で、塗料のように塗って使える利点がある。発表当初の発電効率は3・9%に過ぎず、当時でも20%超だったケイ素系に見劣りしたため注目されなかったが、12年に10%を超えるとにわかに研究競争が激化。今では効率が20%を超え、ケイ素系に近づいている。宮坂さんの論文の引用件数は一気に増え、米情報会社はノーベル賞候補に名を挙げた。

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