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武田 砂鉄・評『塩を食う女たち』藤本和子・著

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人間としての尊厳を手放さずに生き続ける

◆『塩を食う女たち』藤本和子・著(岩波現代文庫/税別980円)

 リチャード・ブローティガン作品の翻訳などで知られる著者が、1980年代、北米に住む40人以上もの黒人女性から聞き取った「生きのびる」ことへの想い。82年刊行の一冊がこの度、文庫で復刊された。

 アフリカから連れてこられた彼女たちが直面した虐待、蔑視、貧困。彼女たちにとって、「生きのびる」とは、単に肉体の維持だけではなく、「人間としての尊厳を手放さずに生き続けることを意味して」いた。なにせ、「黒人であり女であるとは、この世でもっとも低い場所に押しこまれていること」だったのだ。塩にたとえられるほどの辛苦を聞き取りながら、いかにして、私であること、女性であること、母であること、黒人であることを守り抜いたのかを綴(つづ)っ…

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