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的川博士の銀河教室

533 イプシロン4号機、内之浦の空へ

七つの衛星、軌道投入に成功

 7基の小型衛星を搭載(とうさい)した日本のロケット「イプシロン」4号機が、さる1月18日午前9時50分、鹿児島県の内之浦(うちのうら)宇宙空間観測所から轟音(ごうおん)を立てて飛び立ちました。ロケットは搭載したすべての衛星を予定された軌道に投入し、打ち上げは成功しました(写真1)。発射後順調に上昇(じょうしょう)を続けたロケットは、打ち上げからおよそ51分後に高度514キロで、最も大きな衛星を分離(ぶんり)し、その後、6基の超小型(ちょうこがた)衛星を順番に予定の軌道に投入していきました。

     「イプシロン」は、活用が広がる小型の人工衛星を低コストで打ち上げることを目標に、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発した全段固体燃料のロケット。全長26メートル、直径2.6メートル、重さ約96トンで、打ち上げにかかる費用はおよそ55億円。民生品を活用した通信装置やカメラなどが宇宙空間で使えるか実験するための「小型実証衛星1号機(RAPIS-1)」や人工の流れ星を作り出す衛星など、合わせて7基の小型衛星を搭載していました(図、写真2)。

     狭(せま)いノーズフェアリングに7基も搭載するので、載せ方もずいぶんと工夫したようです。これらのうち、主衛星である「RAPIS-1」には、重さを従来の3分の1に軽量化した薄膜(はくまく)太陽電池パドルや上空から撮影(さつえい)した地球の画像を人工知能で識別し、必要な画像を地上に送るカメラなど、将来の衛星技術に活用したい七つのテーマの実証実験が乗っています。

     他の六つの超小型衛星は、いずれも民間企業(みんかんきぎょう)や大学が開発したもの。そのうち、世界で初めて人工の流れ星を作り出すというので注目されている超小型衛星「ALE-1」は、1センチほどの金属などで作った特殊(とくしゅ)な球を400個搭載していて、この球を地球の大気圏(けん)で燃(も)え尽(つ)きさせることで、人工的な「流れ星」を作り出します。来年、広島県を中心とする中国・四国地方の上空で流れ星を出現させる予定です。この「ALE-1」衛星については、面白い実験だから、いずれ詳(くわ)しく説明しましょうね。

     今回のイプシロン4号機については、民間の宇宙開発を促進(そくしん)するため、JAXAが打ち上げ費用を負担し、イプシロンとしては初めて、複数の衛星を同時に打ち上げたものです。大勢の見物客が、発射点から約3キロ離(はな)れた鹿児島県肝付町(きもつきちょう)内のロケット見学場に集まり、ロケットが打ち上がると大きな歓声(かんせい)や拍手(はくしゅ)が湧(わ)き起(お)こりました。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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