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語り継ぐ命 「人命第一のエレベーターを」

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 「エレベーターの戸開(とかい)走行事故で高校生の息子を亡くした私は、今もエレベーターに乗ることができません」。そう語る市川正子さん(66)は支援者らと再発防止の活動を続け、今年で13年を迎える。

 東京都港区で2006年6月3日、学校から帰宅した長男大輔(ひろすけ)さん(当時16歳)は、自宅がある12階でエレベーターを降りる際、扉が開いたまま内部のかごが上昇し、かごの床面と出入り口の外枠に挟まれた。暮らしにかかわる重大な事故だったが、業務上過失致死罪に問われたメーカーの元保守担当者や、保守管理会社の幹部ら全員の無罪が確定し、誰も刑事責任を負わない結果になった。しかし、46万人分の署名を集めるなど再発防止の活動は国を動かし、建築基準法施行令の改正で09年9月以降は新設エレベーターに補助ブレーキなど戸開走行保護装置の設置が義務付けられた。

 しかし、改正前の既設エレベーター約70万台に改修義務はない。国土交通省は補助ブレーキ設置改修費用を一部補助するが、義務化後の新築物件を含めても普及率は約2割にとどまる。点検マニュアルや安全情報の共有など業界の良心に頼るしかない現実を踏まえ、市川さんは17年から保守点検業者の研修会で講話をしている。15分の短い時間の中で「人の命をまず第一に考えてほしい」と訴える。

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