着工したものの一度も汽車が走ることなく建設中止となった鉄道を「未成線」と呼ぶ。浜田と広島を結ぶ予定だった「広浜鉄道今福線」もその一つ。存在は知っていたが、先日じっくりと訪問する機会があった。そこで感じたのは、今福線と三江線が「双子」の関係にあることだった。
戦前の1933年に着工した後、戦争で40年に中断。69年に工事は再開したが80年に中止され、その後は、つち音が響くことはなかった。そんな今福線だが、地元住民の熱意と地道な保存活動が実り、戦前に建設された「今福線コンクリートアーチ橋群」が土木学会の選奨土木遺産に認定された。アーチ橋はとても80年経過しているとは思えないほどきれいに保たれ、コンクリートは重厚で、存在感たっぷりだった。
土木遺産選定をきっかけに、島根県技術士会が社会貢献の一環として、今福線の調査・研究活動に着手。イラストマップを作成するなど、住民とともに今福線の価値の発掘と情報発信を進め、2020年度には「全国未成線サミット」が浜田市で開かれることになった。地道な活動が花開くときが来た。
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