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社説

相次ぐ災害と文化財 保護意識を高めるために

 地震や火事など災害から文化財を守り、次代に継承する責務がある。

     70年前の1月26日、現存する最古の木造建築である法隆寺金堂で火災が発生し、壁画が焼損した。文化財保護法が制定される契機になり、文化財防火デーにも定められた。

     防火意識は高まっているが、自然災害の多い日本列島で、文化財も常に危険にさらされている。阪神大震災、東日本大震災でも多くの文化財が被災した。

     昨年は大阪北部地震(6月)、西日本豪雨(7月)、台風21号(9月)、北海道地震(同)など甚大な被害をもたらす災害が相次いだ。文化庁によると、広範囲にわたった台風21号では国宝建造物33件、重要文化財建造物227件などが被災した。

     災害時は、生命の安全確保やライフライン復旧などが優先されるのは当然だ。しかし、文化財は先人の営みの証しであり、未来を創造する基礎となる共有財産だ。有形、無形問わず地域のよりどころにもなる。

     東日本大震災では津波で流された文化財を救い出し、保全を図る作業が難航した。今後も大規模地震が予想されるなか、保全や救出活動へ向けて十分な対策を講じておくことが不可欠だ。

     そのためには、文化財の所在の把握が必要だ。特に個人所有など未指定のものについては情報が少なく、自治体も十分に把握しきれていない。どこにどのような物が所蔵・保存されているのか事前に分からなければ、救出に困難をきたす。民間の協力も必要だろう。

     今年4月に施行される改正文化財保護法で、市町村の文化財保存活用地域計画策定が可能になった。災害に限らず、過疎化や少子化による文化財の散逸を防ぐのが狙いの一つだ。未指定を含めた地域の文化財の把握や継承につながることを期待したい。実効性を確保するためにも、専門的な人材の育成や予算の確保を急ぐべきだ。

     改正法は、文化財の保護中心から、保存と活用の両立を打ち出した。活用推進には慎重論もあるが、多くの人の関心を集めることで、地域住民が価値を再認識する機会にもなり、ひいては保護につながるだろう。

     保存と活用の均衡に留意することが重要だ。適切に運用してほしい。

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