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社説

ゲノム編集の子ども 暴走防ぐ国際的ルールを

 中国の研究者、賀建奎(がけんけい)氏が公言していた「ゲノム編集された双子の誕生」を中国当局の調査チームが確認した。「自己の名誉と利益のために政府の規制に違反した」と厳しく指摘、関係者は法に基づいて処罰されるという。

     双子が賀氏の狙い通りに遺伝子編集されたのかどうかなど不明な点はまだ多い。だが、医学的に不要で、安全性が未確認の遺伝子操作を受精卵に加え出産につなげたことは、子どもを実験材料に使ったに等しい。

     しかも、こうした臨床研究に不可欠な倫理審査の承認は偽造していたというから悪質だ。

     調査によれば賀氏は2016年6月から海外のメンバーを含むチームで計画を進めてきた。対象は夫がエイズウイルス(HIV)感染者のカップルで、体外受精した受精卵にゲノム編集を施し妻の子宮に戻した。

     このうち1組が双子を妊娠・出産した。もう1組妊娠中の女性がいることも確認された。これらの子どもたちには想定外の遺伝子変異が加わっている可能性がある。障害を持つ恐れもある。今後は、子どもたちのプライバシーを守りつつ、健康状態をフォローし、医学的・心理的なケアを続けていくことが欠かせない。

     今回、双子の誕生で改めて確認されたのは、ゲノム編集を加えた受精卵から子どもを誕生させることが技術的に可能であることだ。

     しかも、賀氏自身がこの分野の専門家ではなかったことを思うと、受精卵編集のハードルは低い。普通の不妊治療クリニックでも同様のことができるはずだ。「親が望む性質を持ったデザイナーベビー作製」にもつながりかねない。

     中国は生命技術の推進に熱心になるあまり、倫理が置き去りにされているとの見方もある。たとえそれが中国に特有の状況だとしても、生命技術は国境を越える。今回のことを機に、科学者の暴走を防ぐためのルール作りを国際社会として急がなくてはならない。

     日本は遺伝子編集した子どもの誕生を規制する法律が現時点ではない。それ以前にヒト受精卵の保護が法律で規定されていない。国際的な信頼を得た上で議論に参加していくためにも、早急に法規制の検討を始めるべきだ。

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