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号外拳銃強奪 男を箕面市内で逮捕 強盗殺人未遂容疑
抗NMDA受容体脳炎

8年越しの花嫁…「指定難病」の審査大詰め 患者や家族ら「救ってほしい」

指定難病検討委員会が審査中の38の病気

 映画「8年越しの花嫁」(佐藤健さん、土屋太鳳さん主演)で注目された「抗NMDA受容体脳炎」は、若い女性を中心に全国で年間推計約1000人が発症する難病だ。しかし、医療費助成の対象となる「指定難病」になっていない。過去2年連続で厚生労働省の指定難病検討委員会(医師12人、委員長=水沢英洋国立精神・神経医療研究センター理事長)の審査対象になったものの、「(指定難病の)要件を満たさない」として認められなかった。新年度の追加指定に向けて、検討委の審査は大詰めを迎えており、患者や家族らは「三度目の正直」に期待している。【照山哲史】

非公開の検討委会合……個別の病気の審査 詳細不明

 「公開した場合に外部からの圧力や干渉などの影響を受けることで、率直な意見の交換や意思決定の中立性が損なわれる恐れがある」。1月25日に開かれた東京・霞が関の厚労省11階会議室での検討委会合は、こうした理由で非公開だった。会議の冒頭のみ許された撮影が終わると、厚労省職員から退出を命じられた。新年度の追加指定候補として、審査対象に挙がる病気は38。会合は3回連続非公開で、個別の病気がどのように審査されているのかなど詳細は全く不明だ。

 「指定難病」は2015年に施行された難病法に基づき、医療費が助成される病気の総称で、(1)発病の機構(しくみ)が不明(2)治療方法が未確立(3)長期の療養が必要(4)患者数が人口の0.1%以下(5)診断基準が確立――の5点が要件となる。厚労省研究班や関係学会の申請を受けた検討委での審査などを経て、厚労相が指定する。18年度に加わった「特発性多中心性キャッスルマン病」を含め、現在331を数える。

 長く原因不明だった抗NMDA受容体脳炎は病気独特の奇妙な動きと精神状態などから「悪魔払い」の対象とされてきた。卵巣にできた腫瘍(卵巣奇形腫)への免疫反応で作られる抗体(抗NMDA受容体抗体)が脳の神経細胞を攻撃することで発症すると突き止められたのは07年のこと。1970年代の恐怖映画「エクソシスト」に登場する少女の奇行を記憶にとどめる人も多いはずだが、今では少女(実際は男児)はこの病の患者だったとされる。抗体が原因とされる脳炎は抗NMDA受容体抗体の他にも、最近ではたくさん見つかってきており、抗NMDA受容体脳炎を含めた「自己免疫介在性脳炎・脳症」として審査対象になっている。

17、18年度は「門前払い」的な判断で指定見送りに

 17、18年度と連続で、検討委員会が認定しなかった最大の理由は、(1)~(5)ではなく、「他の施策体系が樹立している病気」と判断されたことだ。つまり、腫瘍が原因なら、難病としてではなく、がん対策基本法などに基づく患者支援が可能という「門前払い」的な判断だ。しかし、抗NMDA受容体脳炎が発見されてからの研究などで、卵巣の奇形腫によって発症するのは3割程度であることが判明。別の腫瘍が原因とされる患者も一部にはいるが、なぜ抗体ができるのか分からない患者は多い。

 患者会会長の片岡美佐江さん(62)の長女梢恵さん(39)のケースも卵巣の奇形腫は見つからなかった。抗体ができた原因が分からないまま、発症から4年後に意識を回復したが、退院するまでにさらに9カ月要した。片岡さんは「腫瘍が見つからない患者はたくさんいる。そうした人たちは、仮に回復しても抗体ができる原因は不明で、再発の懸念を抱えながら生活している。奇形腫などを理由に、がんの範疇(はんちゅう)でくくるのはおかしい。患者会の会員から、がんによる支援を受けているという話も聞いたことがない」と話す。

「腫瘍が原因であるケースは一部に過ぎない」

 ただ、患者会などが期待する新たな動きがある。「自己免疫介在性脳炎・脳症」が18年度から、18歳未満の子供の患者を対象に医療費が助成される「小児慢性特定疾病」に指定されたことだ。指定の条件は(1)慢性に経過する(2)生命を長期にわたって脅かす(3)長期に生活の質を低下させる(4)高額な医療費負担が続く--の4点。

 小児慢性特定疾病になっている病気は、現在756ある。厚労省難病対策課によると、およそ半数が指定難病になっているが、認定要件が異なるので、小児慢性特定疾病になったから指定難病になるわけではないという。

 つまり、子供から大人までかかる抗NMDA受容体脳炎においては、指定難病に認定されなければ、子供の時に医療費助成を受けられたとしても、そのまま治らないで成人した場合には、助成は受けられないことになってしまう。

 この「自己免疫介在性脳炎・脳症」を指定難病に申請した研究班代表の「静岡てんかん・神経医療センター」の井上有史院長はこうした問題点について以下のように語る。

 「抗NMDA受容体脳炎を含めたこの病気の研究が進み、原因となる新たな抗体が次々に見つかってきている。腫瘍が原因であるケースは一部に過ぎないことも分かってきた。昨年、小児慢性特定疾病に指定されたことも、成人がかかる病気であることを考えると大きい。多くの患者や家族らを救うべく、指定難病として認めてほしい」

前年度 新たに追加指定された病気はわずか一つ

 検討委が審査対象としている38の病気のうち、今回、再申請されたのは自己免疫介在性脳炎・脳症を含め32に上る。「非公開」とされる前の昨年12月の検討委会合では、委員から「再申請の病気は、過去の審査で除外されているので、検討する必要がないのではないか」との声が出た。厚労省難病対策課の担当者は「再申請は、新たに要件を満たすという情報があったものが対象だ。新たなものとして審査してほしい」と説明した。

 検討委の水沢委員長は1月25日の会合前、毎日新聞の質問に対して「申請のあった病気全てについて、認定から非認定までのあらゆる可能性を考え慎重に審査している」と語った。

 18年度は審査対象の病気が61あったが、うち五つは既に指定される病気の一部として認められ、新たに追加されたのは「特発性多中心性キャッスルマン病」だけだった。

 世間での周知が進んだ抗NMDA受容体脳炎(自己免疫介在性脳炎・脳症)の採否が注目される。

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