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第103回全国高校野球選手権

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躍進の春へ

富岡西の軌跡/上 昨夏の悔しさバネに 守備で「負けない」チーム作り /徳島

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センバツに向けてランニングに励む富岡西の選手たち=徳島県阿南市富岡町小山で、岩本桜撮影 拡大
センバツに向けてランニングに励む富岡西の選手たち=徳島県阿南市富岡町小山で、岩本桜撮影

 <第91回選抜高校野球>

 勝利は目前だった--。昨夏の徳島大会で2年ぶりに準決勝に進み、鳴門との一戦を迎えた。相手を追いかける展開だったが、終盤に相手の隙(すき)を突いて7点を挙げ逆転。後は4点リードで迎えた最終回を守り切るだけだった。だが、野球は筋書きのないドラマ。1死を奪ったが、2本塁打を浴びチームが浮足立った。そして、無情にも決勝点となる打球が坂本賢哉右翼手(2年)の前で弾んだ。気がつけばサヨナラ負け。勢いづいた鳴門は甲子園に出場した。小川浩監督(57)は「もっと点差を広げるチャンスはあったが、突き放せなかった弱さがあった」と振り返った。当時もエースだった浮橋幸太投手(2年)は五回でマウンドを降りていた。「ずっと打倒鳴門で練習してきた。最後まで投げきれずチームに貢献できなかった」と悔しさを今でも忘れない。

 夏を経験した選手が4人残り、7月末に新チームが始動した。主将は選手が納得いくよう部員が投票して決めた。前チームでもレギュラーで、監督の信頼が厚かった坂本選手が選ばれた。「秋では絶対に結果を出して、センバツへ行く」と闘志を燃やした。ミーティングでは「絶対負けないチーム」との思いをみんなで共有した。また小川監督は、夏の敗戦後「野球は守備で決まる」と確信し、守備練習により力を入れた。試合を想定した連携プレーを反復し、合間にはミーティングを重ねた。1プレーごとに全員で深掘りし、突き詰めて出した答えを頭と体にたたき込んだ。

 昨年8月の岐阜遠征では他県の強豪校相手に成果が出始めた。昨夏の東愛知大会準優勝の西尾東には投打共に圧倒されたが、別の試合では守りのほころびが減り、最後まで食らい付き接戦に持ち込んだ。「自分たちもやれる」と自信につながった。

 昨夏の悔しさをバネに弱さと向き合い、着実に力を蓄えた選手たち。秋の県大会で優勝し、四国大会を制し、その先のセンバツへ。大きな夢に向かってナインは走り出した。

    ◇

 第91回選抜高校野球大会に21世紀枠で出場する富岡西。創部119年で初の甲子園、県勢では5年ぶりとなるセンバツ出場の道のりは平たんではなかった。野球のまちの期待を背負い、躍進の春へ向かうチームの軌跡を追った。【岩本桜】

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