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社説

「戦後最長」の景気拡大 賃金が伸びぬ構造のまま

 景気の拡大がいくら続いたとしても、賃金が伸び悩めば、国民が好景気と実感することはない。

     政府は、2012年12月から続いている景気拡大の期間が今月で6年2カ月に達し、戦後最長になった可能性が高いとの見解を示した。

     息の長い成長自体は望ましい。今回は第2次安倍内閣の発足と同時に始まり、株価や雇用が好転した。

     問題は、景気拡大を通じて国民がどれだけ豊かさを実感できるようになったか、ということである。

     雇用が増えたのは、人手不足を補うため採用された低賃金の非正規社員が中心だ。勤労統計の不正が修正され、昨年1~11月分の賃金伸び率が縮んだ。正社員も含めた1人当たり賃金は、景気拡大前に比べ物価変動を除いた実質で約3%減った。

     消費は停滞し、成長率も低い。今回の実質成長率は平均で年1・2%にとどまる。戦後の主な長期拡大で最も低かった02年から08年にかけての1・6%も下回る。

     拡大を支えたのは米国など堅調な海外経済であり、メリットを最も享受したのは輸出企業だ。日銀の異次元緩和で輸出に有利な円安が定着し、企業は好業績が続いている。

     企業がためた利益を示す内部留保は17年度に446兆円と過去最高を更新し、アベノミクス前から160兆円以上も増えた。一方、人件費にどれだけ回したかを示す労働分配率は66%台と43年ぶりの低水準だ。

     日本は現在、高齢化と人口減少に直面している。企業が賃上げに慎重なのは、国内市場の縮小を見越して事業の拡大に後ろ向きだからだ。

     必要なのは経済の成熟化に見合った対応であろう。戦後の高度成長期は賃金も自然と右肩上がりだったが、今は企業が稼いだ利益をできるだけ社会に還元するように努めなければ経済の底上げにつながらない。

     海外経済も米中貿易戦争などで悪化する恐れがある。今年10月の消費増税も控え、日本経済の足腰を強める重要性は一段と高まっている。

     企業は今年の春闘で積極的な賃上げを行ってほしい。人への投資は企業の成長に資するはずだ。

     政府も企業が賃上げしやすい環境を整えるべきだ。イノベーションの推進などで企業の生産性向上を後押しする必要がある。

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