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<第91回選抜高校野球>
昨秋の県大会。「自信をもって投げてこい」。早川翔大選手(2年)は試合前のブルペンで、投球練習を終えた先発投手を激励し、マウンドに送り出した。背番号19をつけ、試合前や試合中、投手を支えた。「投球を受ける時の顔つきは真剣そのもの。誰よりも投手を見ている」。片桐健一監督が厚い信頼を寄せるブルペンキャッチャーだ。
ただ、役割は投球練習の相手にとどまらない。「(投手の)調子はどうだ。自信を持って投げているか」、「誰が登板すればいいと思うか」。片桐監督から意見を求められる。ブルペンでは好調に見えても、マウンドで調子の出ない投手がいると、共に責任を問われる。その度に投手たちの癖を分析し、相手チームの特徴を探った。「相手打者は大振りだから、外角のスライダーが切れている渡部(慎之介投手)がいいと思います」。そんなふうに自信を持って答えられるようになるまで、時間がかかったという。
ブルペンキャッチャー、三塁コーチャー、代打、代走……。桐蔭学園ではレギュラーではない控え選手にも明確な「ポジション」がある。片桐監督は「お前はチームにとって必要だ。いなくなったら困るんだ」と、一人一人に存在意義を自覚させている。「技術だけで勝負できる控え選手はいないし、試合でプレーする選手だけが偉いわけでもない」との思いがある。
「代打」がポジションなのは、大谷部龍亜選手(2年)だ。昨秋の県大会と関東地区大会に代打で出場した。「スタメンで出られるほど信頼を得ていない」と落ち込んだこともあった。だが、代打で指名される度に、片桐監督から「一番練習し、一番怒られているんだ。できるよな」と声を掛けられたのが励みとなり、「自分がチームの力になれることはないか」と考えるようになったという。
たとえ野球が下手でも、元気の良さとか明るさとか、それぞれの良さが絶対にあると、片桐監督は言う。「人に必要とされる体験をさせたい。もちろんレギュラーを目指してほしいが、10人目以降の選手にも存在意義を与えることで、少しでも良いところを引き出せたらと思う。たとえ突出した能力がなくても、一人一人が役割を受け止め、責任を果たしてくれたらチームは強くなる」
16年ぶりのセンバツ出場を決めた桐蔭学園。それは、自分のポジションに責任と誇りをもち、「チームのために何ができるか」を迷いながら一つ一つ考え、力を合わせて全員でつかんだものだ。春の舞台はもうすぐ。選手たちは甲子園の土を踏みしめる時を待ち焦がれている。【洪〓香】
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