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第94回センバツ高校野球

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躍動の季節

市和歌山/上 敗戦引きずり不安の船出 ほめる指導、選手鼓舞 /和歌山

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半田真一監督(手前右)の話を聞く市和歌山の選手たち=和歌山市六十谷の同校で、後藤奈緒撮影 拡大
半田真一監督(手前右)の話を聞く市和歌山の選手たち=和歌山市六十谷の同校で、後藤奈緒撮影

 <第91回選抜高校野球大会 センバツ>

 市和歌山は夏の甲子園を懸けた昨年の和歌山大会決勝で智弁和歌山に6-7で惜敗し、悔しさを胸に新チームが始動した。初日の7月28日、半田真一監督(38)は1、2年生40人を集めてミーティングを開いた。翌春のセンバツ出場を目指し、目標について「秋の近畿大会でベスト4に入ろう」と呼びかけた。

 しかし、チームの状態は芳しくなかった。初めての公式戦となった8月の県新人戦初戦は那賀の投手にタイミングが合わず1-3と敗北。打席に立つチームメートを励ます声も少なく、ベンチは重苦しい雰囲気に包まれた。

 翌日も敗戦のショックを引きずり、練習では「ナイスボール」といった掛け声がほとんどなかった。昼休憩を挟み、午後の実戦練習で“事件”は起きた。ヒットエンドランの練習中、走り出すべきタイミングでスタートをしないなど選手の散漫な様子に、南方拓磨コーチ(26)が業を煮やして「帰れ!」と叱責、選手の荷物をベンチの外へ出した。真意は奮起を促すところにあったが、ほとんどの選手はその様子をじっと眺めているだけで練習はそのまま中止となった。

 「このままでは駄目だ」。選手がやる気を見せてくれると期待していただけに指導陣は大きなショックを受けた。半田監督は岩本悠部長(34)、南方コーチ、舩津直也コーチ(26)を急きょ集めて今後の指導について話し合い、数日後に実行に移した。

 厳しく注意することを控え、打撃や守備で少しでも良いプレーがあれば「ナイスボール」「いいやん、その調子」と積極的にほめた。実戦を想定した打撃練習の後には、選手同士の話し合いの場を設け、良かった点や反省点について見直し、次に生かすよう促した。

 また、各選手の技能や性格も考慮して打順も工夫。1番、2番は打率の高い山野雄也選手(2年)、下井田知也選手(2年)を置き、3番には走者を着実に送ることができる緒方隆之介選手(2年)を据えるなど適性に合わせ、各選手が最も力を出せるよう9番まで決めた。

 南出椋生(りょうせい)選手(2年)は「自分の意見を言える機会が増え、分からないことをコーチに率直に聞けるようになった」と話す。

 新人戦以来の公式戦となった9月の県1次予選初戦は岩本真之介投手(1年)の好投で耐久に5-0と完封勝ちすると、2回戦は3本塁打を含む猛攻で11-0と星林を圧倒。「やればできるやん」という半田監督の褒め言葉にも後押しされ、続く粉河戦でも4-1と勝利して県2次予選出場を決めた。

 半田監督は「8月中は僕らと選手との歯車が合っていなかった。厳しい言い方で選手たちを引っ張るよりも、勢いに乗せて自信をつけさせる必要があった」と振り返る。良好なムードづくりに腐心する監督・コーチ陣に後押しされ、選手たちも本来の実力を発揮し始めていった。【後藤奈緒】

     ◇

 市和歌山が3年ぶり6回目のセンバツ出場を決めた。躍動の季節(とき)を迎えたチームの姿を追った。

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