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<第91回選抜高校野球大会 センバツ>
4県の強豪が集う四国大会。高松商のエース、香川卓摩投手(2年)には苦い思い出がある。1年生だった2017年は3試合に先発。だが、県勢対決となった準決勝で英明にコールド負けを喫す。4強にとどまり、センバツを逃した。あの頃、自分が一人で投げきらないとチームは勝てないと考えがちだった。だけど、今は違う。
調子が悪くても、同学年の中塚公晴投手が控えていてくれる。実力を備えながら腰のけがに悩んだ中塚投手だが、それも癒えた。「一枚岩」を目指す新チームで、勝利への精神が著しく成長する。ほかの投手陣と配球に関して意見を交わすなど積極的な姿が、部員の目に留まるようになった。
四国大会行きを決めた昨秋の県大会準決勝の英明戦。制球が定まらない香川投手は、中塚投手にベンチでこんな声をかけている。「今日ヤバいかも。準備しといて」。誰もがチームのことを考えている--。信頼できる仲間がいると分かっていたから、結果を気にせず黙々と投げられた。
四国大会初戦となった準々決勝は、甲子園春18回、夏19回の出場を誇る明徳義塾(高知)。三回2死満塁、香川投手は得意とする右打者内角への直球を振り切られ先制の2点を許す。打席には4番。昔ならマウンドでいらだちをあらわにしていた場面だ。「でも中塚もいるし、野手も守ってくれる。打線だってきっと取り返してくれる」。すぐに開き直ることができ、左翼へのフライに抑えた。
序盤に先制されても、飛倉爽汰主将(2年)は「試合に出られないメンバーが雰囲気を明るくしてくれて心強かった」と振り返る。例えば、ムードメーカーの川原稜矢投手(同)。新チームで背番号を与えられたが、ここまで出場機会はゼロ。登板したい気持ちはもちろんある。でも、「声で勢いづかせるのが今の僕の役割。投げたい気持ちは練習に注いで力を磨き、試合になったら切り替える」。グラウンドの9人だけでなく、部員全員がチームの勝利のために自分は何をすべきなのかを考えていた。
仲間を信じた香川投手は復調して以降を無失点に封じる。打線も七回の4連続長短打で逆転に成功し、明徳義塾を撃破。香川投手は準決勝の高知商(高知)戦も自責点3で完投し、決勝・松山聖陵(愛媛)戦の先発を中塚投手に託す。
中塚投手も後ろに香川投手が控えてくれることで初回から全力で飛ばすことができ、7回を1失点。明治神宮大会につながる試合で勝利を呼び込む経験を得て、高松商の二枚看板の一角へと成長を遂げてゆく。チームの層は、確実に厚みを増していった。=つづく
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