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社説

統計不正問題と首相 危機感が伝わってこない

 安倍晋三首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が始まった。

     焦点となっているのは統計不正問題だ。しかし、政府の政策決定材料となる基幹統計が長年にわたってゆがめられてきたことへの危機感が首相の答弁からは伝わってこない。

     首相は「責任は重く受け止めている」と陳謝する一方、真相解明や再発防止については根本匠厚生労働相に任せる姿勢に終始した。

     毎月勤労統計の不正調査問題に限れば厚労省の不祥事だが、56ある基幹統計のうち23の統計で不適切な処理がなされていたことが判明し、問題は政府全体に広がっている。

     首相が率先して官僚組織の病巣にメスを入れるべきだ。各省が別々に採用している統計の専門職員を独立した組織に一元化するなど、抜本的な改善策を検討すべき段階だろう。

     勤労統計不正をめぐっては、厚労省の特別監察委員会がおざなりな調査で組織的隠蔽(いんぺい)を否定したことが政府への不信に拍車をかけている。

     有識者8人で構成された監察委は第三者の立場で関係者37人から聴取したとされていた。しかし、そのうち25人の聴取は身内である同省職員が行っていた。真相解明に本気で取り組んだとはとても言えない。

     その調査結果を漫然と受け取り、問題の幕引きを図ろうとした根本厚労相の責任は重い。

     勤労統計不正はなぜ始まり、15年間も続いたのか。抽出調査をするなら当然必要になる数値の補正を統計の専門職員がなぜ怠ってきたのか。そして、昨年になってこっそり補正を始めたのはなぜなのか。

     野党は、昨年の補正作業が賃金の伸び率を高く見せるために行われたのではないかと疑っている。国民民主党の玉木雄一郎代表は代表質問で「賃金偽装」だと追及した。

     そうした疑念を晴らす責任は政府側にある。「2018年の伸び率の数値のみを示してアベノミクスの成果だと強調したことはない」との首相答弁では説明になっていない。

     ただし、統計不正は旧民主党政権のときも続いていた。官僚組織をコントロールできなかったという意味では与野党全体の責任だ。

     政府自らの調査で明らかにできないのなら、国会が特別委員会を設置するなどして徹底調査すべきだ。

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