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イノシシ、北上中 “絶滅”北東北で増加 農作物被害に危機感

2015年2月に秋田県由利本荘市で目撃されたイノシシ=秋田県生活環境部自然保護課提供

 イノシシが東北地方で生息域を広げている。「絶滅」と判断されてきた北東北でも目撃件数が増え、農作物被害も出ている。イノシシ対策はこれまで、被害が多かった西日本で重点的に実施されてきたが、専門家は「このままでは東日本でも甚大な被害が出かねない」と警告する。亥(い)年(どし)の年頭、「イノシシの北上」を考えた。

 「我々にとってはまったく新しい動物で専門家もいない。今のうちに対策をしなければ被害が大きくなってしまう」。長年、イノシシの「空白地域」だった秋田県の自然保護課の担当者は危機感をあらわにする。

 環境省によると、1978年の調査では宮城県南部が生息域の北限。当時は30センチ以上の積雪が70日以上続く地域や、森林面積が40%以下の地域では生息が確認されず、北陸や北東北などにはいなかったという。しかし、2014年調査では北陸などでも確認され、分布域は1・7倍に拡大していた。40年以上イノシシを研究する農業・食品産業技術総合研究機構の仲谷淳専門員は「雪深いと動きにくくはなるが、豪雪・寒冷地帯で生きられないわけではない」と話す。78年時点ではたまたまいなかっただけのようだ。

 山形県は03年発行の「レッドデータブックやまがた」で「絶滅」に区分したが、02年1月に天童市内で1頭捕獲されて以降、目撃・捕獲数が増加。17年度時点で、県内に3200頭(推定)生息しているという。

 秋田県では、12年2月に県南部の湯沢市内で初めて目撃された。17年度の目撃は43件だったが、今年度は1月21日までに69件。目撃現場も北上しており、「7~8頭の親子連れの目撃情報もあり、すでに定着していると考えられる」(同県自然保護課)。さらに北の青森県でも、南部の深浦町で17年8月に初めて確認された。同県自然保護課によると、今年度は目撃情報が12月までに13件に上る。

 江戸時代には各地でイノシシによる深刻な農業被害が頻発し、対馬(長崎県)で計画的に絶滅させた記録がある。東北では明治時代に豚コレラの流行で絶滅したとされるが、仲谷さんは「豚コレラ以前に農業被害対策で捕獲が進み、生息数が相当減っていたのではないか」と推測する。

 その後しばらく東北はイノシシの空白地域になったため捕獲する人がいなくなり、イノシシにとっての「楽天地」に戻った。そこに関東地方から進入し、北に広がっているとみられる。

 「山中だけにすむ」「夜行性」というのは間違いで、捕獲する人間など怖いものがなければ、昼間に開けた土地に出てくるという。東北農政局によると、17年度のイノシシによる東北地方の農作物被害額は約2億5000万円だが、仲谷さんの試算では、このまま生息域が拡大すると数倍になると予測されるという。

 仲谷さんは「東日本では分布の最前線を制御して生息域を拡大させないのが喫緊の課題。自治体単位ではなく、広域で対策を考える必要がある」と指摘する。【大場あい】

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