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社説

特別養子縁組の見直し 養親への支援策も同時に

 虐待などで実の親と暮らせない子が増えている。そうした子どもたちの8割が施設にいる。できるだけ、家庭的な環境で育つ機会を得ることが望ましい。

     その一つに、特別養子縁組制度がある。この制度がもっと活用されるための見直し案を法務省法制審議会の部会がまとめた。対象とする子どもの年齢を現在の6歳未満から15歳未満へ引き上げるとともに、養親の負担を軽減する内容だ。

     特別養子縁組は普通養子縁組と異なり、実親との法的親子関係が消滅し、戸籍上養親の実子となる。増加傾向にあり、2017年に616件が成立した。6割が0~1歳児だ。

     だが、縁組を希望しても実現しないケースは少なくない。実親の同意が得られない、子どもが6歳を過ぎている、などが理由という。

     多くの子を救うため、見直し案が対象年齢を引き上げたことは理解できる。「15歳未満」としたのは、15歳以上は自らの意思で普通養子縁組などができると判断したためだ。

     ただ、普通養子縁組は実親との法的関係が残るため、虐待から逃げられない恐怖心を抱く子も多い。このため、見直し案は15~17歳も本人の希望がある場合などは例外的に対象とした。柔軟な運用が必要だ。

     また、現在、実親では養育できないことを立証するのは養親の役割とされている。見直し案は、児童相談所長も申し立てられるようにする。

     さらに、実親が特別養子縁組に同意して2週間たつと撤回できなくなることを盛り込んだ。現在は実親が縁組に同意した後、6カ月以上の試験養育期間を経て家庭裁判所が最終的に可否を判断するが、その間に実親が同意を撤回することを認めている。養親の負担軽減は当然だろう。

     ただ、特別養子縁組をいっそう広めていくためには、養親を支援していく施策も欠かせない。

     特別養子縁組に向けた実親への説得や子どもへの説明には児童相談所の職員があたることが多い。縁組が成立すると相談所の関わりは終了する。公的支援がなく、孤立した状態で子育てに行き詰まる養親も多い。

     養親に対する児童相談所や児童養護施設の継続した支援が必要だ。経済支援も含め、養親を支える制度の拡充を検討すべきだ。

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