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社説

日欧EPAが発効 巨大な貿易圏を生かそう

 米国の専横で混乱する国際秩序の立て直しにつなげてほしい。

     日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効した。経済規模は世界全体の約3割を占め、昨年末に発効した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を上回る巨大な自由貿易圏の誕生である。

     関税撤廃の対象は幅広く、日欧双方に大きなメリットをもたらす。

     日本の消費者は欧州産のワインやチーズを安く買える。欧州への自動車輸出にも追い風となる。政府は経済効果を5兆円強と試算している。農家への影響に目配りしつつ、国内全体の活性化につなげるべきだ。

     日本が米国と近く行う貿易交渉でも、米国の保護主義圧力の防波堤となる。欧州産の農産物関税も下がることで、TPPを離脱した米国は対日輸出で一段と不利になる。米国が早期妥結を優先し、日本が交渉を優位に進められる可能性もある。

     英国の離脱交渉や反EU政党の台頭に揺れるEUにもプラスだ。

     EUは対日輸出が3割以上増える可能性があるとみている。自由貿易のメリットがEU各国に広がれば、経済統合の意義が改めて認識される契機になりうる。EUの求心力回復に役立つ効果が期待できる。

     世界経済は米中貿易戦争で悪化の恐れが強まっている。日欧の経済が自由貿易で底上げされると、世界全体の安定にも寄与する。

     日欧EPAは、TPPとともに世界の自由貿易をけん引する車の両輪にもなる。米国を中心とした北米自由貿易協定が、トランプ政権主導で保護主義的な内容に見直されてしまっただけに、欧州とアジアの多国間の枠組みは重要性を増している。

     日欧は安全保障や地球環境問題でも多国間協調を重視する。戦後の国際秩序は日米欧が支えてきたが、中核だった米国が自国優先に転換した今、日欧の役割は重い。日米同盟に比べると日欧は距離があったが、EPAは連携を深める土台になる。

     そのEUの要であるドイツのメルケル首相が来週、来日して安倍晋三首相と会談する。EPA発効を踏まえ協調の意義を確認する見通しだ。

     日本は6月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議で議長国を務める。首相はドイツなどと緊密に連携し国際協調をリードする責任がある。

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