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プーチン氏の大統領就任を前に、ロシアを取り巻く課題や状況を分析する。

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揺れる東方正教会/2 「聖地」対立最前線に ウクライナ、捜索断行

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訪れる信徒が後を絶たないペチェールスカ大修道院=キエフで2018年11月27日
訪れる信徒が後を絶たないペチェールスカ大修道院=キエフで2018年11月27日

 ウクライナの首都キエフにあるペチェールスカ大修道院は、隣国のロシア正教会にとって最も大切な寺院とされてきた。「我々にとって精神的な中心であり、多くの聖なるものが保管されている」。修道院について語る時、ロシア正教会の報道官、アレクサンドル・ボルコフ司祭(36)は目を輝かす。

 ソ連時代には宗教全般の信仰が制限されたが、1991年にロシアが誕生して以来、ロシア正教会は影響力を取り戻している。特にプーチン大統領が2000年に権力を握ると、国内の保守層の支持を固める狙いで、ロシア正教会と連携を深めてきた。正教会自身は「国家宗教ではない」(ボルコフ司祭)と否定するが、トップのモスクワ総主教キリル1世が大統領就任式で祈りをささげるなど、権力の一端に食い込んできた。

 二人三脚で歩んできたロシアの政権と正教会にとって、キエフにあるペチェールスカ大修道院の重要性は二重の意味を持つ。ロシア正教会の傘下に入る「ウクライナ正教会モスクワ聖庁」の総本山はここに置かれている。ロシアが隣国の宗教界で影響力を保つうえで、現地本部となるのがこの修道院なのだ。

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