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的川博士の銀河教室

534 「はやぶさ2」のサンプル採取/1

初代はやぶさを踏襲

 これまで、ローバー(探査ロボット)は小惑星(しょうわくせい)リュウグウに着陸しましたが、「はやぶさ2」本体はまだ表面に降(お)りていません。最初に「はやぶさ2」が舞(ま)い降りるのは2月後半(図1)。これが最初のサンプル採取への挑戦(ちょうせん)。採取には、基本的に初代「はやぶさ」(図2)が採用した方法が踏襲(とうしゅう)されます。

     その方法とはつまり、筒(つつ)の形をしたサンプラーホーン(図3)の先端(せんたん)が地面に触(ふ)れた瞬間(しゅんかん)、コンピューターが指令を発して、小さな弾丸(だんがん)が撃(う)ち出されます。するとリュウグウの表面が砕(くだ)かれ、舞い上がった石や砂やホコリがホーンの内部を上昇(じょうしょう)していき、格納庫(キャッチャー)に入るという仕組みです。初代「はやぶさ」はこのやり方で人類史上初めて、月より遠い天体からサンプルを持ち帰りました。

     今や「はやぶさ」のサンプラーは世界をリードしている技術の一つですね。「はやぶさ2」には、さらに洗練されたサンプル採取を実行するため、新しい課題が課せられました。

    (1)「はやぶさ」よりもさまざまな種類のサンプル(たとえば希ガス)も密閉して持ち帰れるようにする

    (2)サンプルをよりきれいなまま持って帰る

    (3)それもできるだけたくさん持ち帰る

    という大きなテーマです。

     (1)(2)では、サンプルを閉(と)じ込(こ)める機構を金属だけで作ればいいのではないかということになりました。特に問題にされたのは、地球に帰還(きかん)し大気圏(たいきけん)に再突入(とつにゅう)した時にカプセル内で発生する衝撃(しょうげき)です。密閉(シール)機構の形・材料を改良してはハンマーで思いっきりたたくという試験を、何度も何度も繰(く)り返したのです。ハンマーで1000回以上たたいたというからすごいですね。そして、キャッチャーを初代の2部屋から3部屋に増やしました。これで、3度予定している採取のたびにサンプルを分けて格納することができます。

     (3)では、ホーンの先端に小さな折り返し部品をつけ、その上にサンプルを引っ掛(か)けて、探査機が上昇中に急停止をすると、砂礫(されき)はそのまま上昇を続け、キャッチャーに入る仕組みにしました(図4)。折り返しには1~5ミリ程度のサンプルが乗るようになっています。少しでもたくさんのサンプルを採取したい意欲の表れですね。

     また「はやぶさ2」では、インパクター(衝突(しょうとつ)装置)という独創的な方法を作り出しました。そのことを次回に紹介(しょうかい)します。


    的川泰宣(まとがわやすのり)さん

     長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


    日本宇宙少年団(YAC)

     年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac-j.or.jp


     「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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