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<第91回選抜高校野球>
先輩の姿「次は自分たちが」
1月25日、甲府市の山梨学院・砂田球場。現れた山内紀幸校長の前に、練習中の選手たちが集まった。「満場一致でセンバツ出場が決まったと連絡がありました。おめでとうございます」
列の中にいた野村健太左翼手(2年)は「ここぞの場面でホームランを打ってやる」と思った。甲子園に残した忘れ物を取りにいく--。センバツに、秘めたる思いがあった。
◇
2018年8月6日、夏の甲子園に出場した山梨学院は初戦で高知商と対戦し、2年連続で初戦敗退した。
野村選手にとって、初めての甲子園。2年生ながら5番に座った。試合前までプレッシャーは感じていなかったが、2万7000人の大観衆に囲まれ、声援に圧倒された。「県大会とは雰囲気が比べものにならなかった。緊張して打ち急いでしまった」。第1、2打席はともに初球を打ち損じた。
試合は序盤から劣勢で、四回を終わって6点を追い掛ける苦しい展開となった。「甲子園にのまれ、重苦しい雰囲気が漂っていた」という。
それでも3年生は諦めていなかった。五回、2点差まで詰め寄り、なおも1死満塁。4番の中尾勇介選手(3年)が打席に入った。115キロの変化球を振り抜くと、打球はバックスクリーン左へ。チームを1度は逆転に導く、大会通算1600号のメモリアルアーチになった。
中尾選手は憧れの存在だった。中心打者としてチームを引っ張っていただけでなく、心遣いも細やかで、直前の山梨大会から本格的にメンバー入りした野村選手にとって、最も頼れる先輩の一人だった。
「甲子園でも笑顔で楽しそうで、すごいと思った。自分も楽しまなければ、という気持ちになれた」。先輩の姿を見て、それまでの緊張感から解放された。七回に左越え本塁打を放ち「チームの助けになれた」と拳を突き上げた。
試合後、ベンチ裏で中尾選手と視線が合った。「また(甲子園に)来い。来年、頑張れよ」。そう声を掛けられ、自然と涙がこぼれた。「次の甲子園では、自分たちがチームを引っ張る」。夏の甲子園での敗戦は、センバツ出場までの道のりの「起点」となった。【金子昇太】
◇
3月23日に開幕する第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に山梨学院が出場する。昨夏の甲子園での初戦敗退からチームはどう羽ばたき、センバツ出場をたぐり寄せたのか。半年を振り返る。=つづく
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