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<第91回選抜高校野球大会 センバツ>
ボールは構えたミットに正確に収まった。「緩急をうまく使い分け、コントロールがいい」。昨春、新入部員の岩本真之介投手(1年)の投じるボールを捕球し、米田航輝捕手(2年)は手応えを感じていた。
岩本投手は中学時代、和歌山湯浅ボーイズに所属、直球で打者を追い込み変化球で三振を奪う投球を得意としていた。
「中学の時のようにいける」。入部間もなくして練習試合で登板するようになったが、米田捕手のサインに首を横に振り、自分で球種を選ぶことが多かった。しかし、手の内を読まれて通用せず、夏前にはフォームも崩して調子を落とした。
「三振を取ることを意識しすぎている」。そう感じた米田捕手は「こっちにも配球の意図がある。好きな球を投げるのは待ってほしい」と岩本投手に自分のサインを受け入れるよう求めた。
二人はブルペン練習で、走者を出したさまざまな場面を想定して投球の組み立て方を探った。岩本投手は最初の頃、配球の意図が分からないこともあったが、疑問点は米田捕手に逐一尋ねた。「自分だったらまっすぐに投げようと思う場面でも、米田さんは変化球を1球挟む。試合展開をよく見て、余裕がある勝負をする」。次第にその読みの深さに気付いていった。
日々のコミュニケーションで培われたコンビネーションは試合で発揮される。岩本投手は球速130キロ前後と速球派ではないが、コーナーを丁寧に突き、打者を次々と打たせて取った。昨年9、10月に登板した公式戦6試合中5試合で完投勝利を飾り、主戦として抜群の安定感を見せた。
米田捕手が果たした役割も大きい。昨年10月の近江兄弟社(滋賀)との秋季近畿大会1回戦。「お前はコントロールピッチャーなんやからスピードは出さなくていい」。立ち上がりから岩本投手が力んでいると感じ、一回途中にマウンドに駆け寄りアドバイスした。米田捕手は「球場のスコアボードには、県予選では表示されていなかった球速が示され、岩本に無意識のうちに力が入っていたようだ」と振り返る。微妙な変化を見逃さない観察眼が快投を支えた。
米田捕手は試行錯誤の日々を振り返り、「自分の要求したボールを投げてくれるようになった。球速、球質もレベルアップしている」と話す。岩本投手は「しっかりとした信頼関係ができている」としつつ、さらにスタミナを強化する必要を語った。
1年足らずの間に大きな成長を遂げた1年生エースと先輩捕手。3月23日開幕のセンバツで躍動する姿を思い描きつつ、バッテリーはさらなるレベルアップを誓っている。【後藤奈緒】
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