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平成の日本政・官界を取材してきた伊藤智永専門編集委員が担当するコラム。

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産婦人科医はどこ?=青野由利

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 世界初の体外受精でルイーズ・ブラウンさんが生まれたのは40年前。これを手がけたのは英国のエドワーズとステプトーの2人組だ。

 エドワーズが2010年にノーベル医学生理学賞を受賞した時、ステプトーは既に故人。結果的にエドワーズ一人が受賞の栄誉に浴したわけだが、では2人の役割分担は?

 過去の経緯を振り返ると、長年「体外受精が不妊治療に使える」と考えていたのはエドワーズだ。ただし彼は生理学者で、医者ではない。しかも、当時、英国の多くの産婦人科医はエドワーズに批判的だった。ようやく探し当てた協力者が腹腔(ふくくう)鏡を専門とする産婦人科医、ステプトーだったということらしい。

 2人の関係が改めて気になったのは、中国の「ゲノム編集した双子の誕生」が事実だと中国当局が認定したからだ。この計画を主導した賀建奎(がけんけい)氏はエドワーズ同様、医師ではない。米国で取得した博士号は生物物理学。中国に帰ってDNA解析装置のベンチャー企業を設立したというから、ヒトの受精卵を扱う現場からはかなり遠い。

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