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リーマン・ショックの大激震に見舞われながら対応は後手に回り、しかも小出し。その結果、円高を招いて実体経済を急速に悪化させた。日銀が受けた批判である。
内部の議論はどうだったのか。
公表された当時の金融政策決定会合の議事録からは、すでに低金利で政策手段が限られる中、日銀が苦悩する姿を読み取ることができる。
2008年9月15日に米大手証券、リーマン・ブラザーズが破綻した。直後、日銀は「(景気が)大きく落ち込む可能性は小さい」(白川方明総裁=当時)などと楽観していた。認識の甘さは否めない。
ただ、震源地の米国でさえ、リーマン破綻直後の政策決定会合で、連邦準備制度理事会(FRB)は金利を据え置いている。0・5%の利下げを欧州などと協調して実施したのは、10月8日のことだった。
現在の日銀にも通じる、より本質的な問題は、いざという時に切るカードが残っていないリスクである。
金融が大混乱する中、当時の日銀は、利下げ幅を通常の0・25%にするか、0・2%に抑えるか、で大議論をしていた。わずか0・05ポイントの差が問題になったのは、当時の政策金利がすでに0・5%まで下がっていたからである。
米欧の中央銀行と足並みをそろえて0・5%引き下げたら、その1回で日本はゼロ金利となり、「次」がなくなる。
現在の日本経済は、「戦後最長の景気拡大」と言われながら、政策金利は危機発生時の0・5%どころか、マイナス0・1%だ。マイナス幅の拡大は可能だが、金融機関の収益をより圧迫し、かえって金融不安を招く恐れがある。お金の量を増やす策も、黒田東彦総裁下の異次元緩和を通じて日銀は巨額の国債を保有しており、弊害が問題視されている。
先月の金融政策決定会合では、海外経済の悪化を懸念する声が相次いだ。リーマン破綻時も、危機を予想できなかったわけだが、もし再びショックが起きた時、日銀はどのような政策で対応するつもりなのか。
超低金利は長期化するとバブルを生み、そのバブルの崩壊後も政策対応の手を縛る。金融危機の最大の教訓が生かされていないことこそ懸念すべきだ。
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