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社説

千葉の小4女児虐待死 後を絶たぬ事なかれ主義

 懸命にSOSの叫び声を上げた女児の命をなぜ救えなかったのか。

 「お父さんにぼう力を受けています」「先生、どうにかできませんか」

 千葉県野田市で小学4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡した事件で、心愛さんは亡くなる1年以上前から、父親に暴力を振るわれていたことを学校のアンケートで訴えていた。

 にもかかわらず、学校と市教委は暴力の当事者である父親の威圧的な要求に応じてアンケートの内容を伝えてしまった。内容を知った父親が、心愛さんを虐待するリスクが一層高くなることは容易に想像できる。子どもを守るべき学校側の信じがたい行為と言わざるを得ない。その責任は極めて重い。

 心愛さんは2017年8月、両親とともに沖縄県糸満市から野田市に転居した。11月に小学校が「秘密を守る」と児童に伝えて行ったいじめに関するアンケートで虐待の被害を訴えたため、学校は市を通じて柏児童相談所に通報し、柏児相が心愛さんを一時保護した。

 その後、親族宅に預かられ、一時保護は解除された。翌18年1月、学校側からアンケートのコピーを入手した父親は、心愛さんを市内の別の学校に転校させた。

 転校先の学校や市、児相は3月上旬以降、事件が起きる今年1月まで一度も自宅を訪問していない。事件の前には学校を長期欠席し、異常が疑われたはずだ。なぜ継続して調査しなかったのか。

 先月22日、市や児相などでつくる要保護児童対策地域協議会が開かれたが、心愛さんのケースは議題にならなかった。遺体が発見されたのはその2日後だった。関係機関が連携して虐待に対応するための組織なのに、機能していなかった。

 東京都目黒区で昨年3月、船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が両親に虐待され、死亡した事件でも、香川県の児相が結愛ちゃんを一時保護したものの、家庭へ戻した後に一家が東京に転居し、事件が起きた。

 連携が足りないのは各機関に当事者意識が薄く、親との摩擦を避けたい「事なかれ主義」がいまだに残っているからではないか。

 子供の命を預かる学校など最前線の意識が乏しければ、痛ましい事件はまた繰り返される。

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