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「対応誤れば見捨てられるのは日本」拡大する外国人労働、先行する現場の今

台所を掃除するフィリピン人のアナリン・レデスマさん=大阪市東淀川区で2019年1月24日、梅田麻衣子撮影

 単純労働の分野も含む外国人の受け入れ拡大が4月に迫っている。人口減少や人手不足を背景に労働力としての期待は高まっているが、日系人ら外国人労働者が働く現場では多くの課題が残されたままだ。先行事例から見えてくる外国人労働を巡る課題を探った。

家事代行でピカピカ掃除、依頼主「100%満足」

 「キュッ、キュッ」と小気味よい音をさせながら、フィリピン人のアナリン・アルセ・レデスマさん(27)が台所の壁を拭き、油汚れを落としていく。ダスキンの家事代行スタッフとして訪れた大阪市内のマンションの一室。日本人スタッフとともに、1時間半で台所の隅々までピカピカに。依頼した主婦の松倉晃子さん(36)は「さすがプロ、100%満足です」と笑顔を見せた。

 外国人の家事労働を解禁した大阪市や東京都などでは、約700人の外国人が掃除や洗濯などの家事をこなす。工場やコンビニなど外国人が働く現場は多岐にわたるが、家庭内の労働をも支え始めている。外国人による家事代行は2015年、地域限定で規制緩和する国家戦略特区の枠組みで認められた。人手不足の中で女性の就労の後押しを目指したものだ。基礎レベルの日本語能力や1年以上の実務経験が条件で給与は日本人スタッフと同等。ただ、在留期間は最長3年だ。レデスマさんは「給与や労働条件が良いので来ました。本当はもっと働きたい」と話す。ダスキンの担当者も「後輩の指導ができるようになったころに帰国となってしまう。制度を生かすためには在留期間を延長してほしい」と訴える。

 ものづくりの中小企業では、一定の技能を持った外国人技術者を正社員として迎える動きが広がる。兵庫県姫路市の姫路経営者協会は15年からベトナムで企業説明会を開催し、これまで地元企業は数十人の大卒者を雇用してきた。ベトナム人2人を昨年採用した東大阪市の中西英二・中西鉄工所社長も「ベトナム人は覚えが早くてやる気もあり、戦力となっている」と太鼓判を押す。姫路で先駆的にベトナム人の雇用を始めた宝角(ほうずみ)ギヤーの宝角幸彦会長は「人件費が安いから外国人を採用するという考え方は間違っている。日本人並みの給与を払い、定着してもらうようにすべきだ」と話す。

働く外国人の主な在留資格

地域に溶け込めるよう支援する取り組みが必要

 政府は昨年、介護、外食、建設など人手不足が深刻な14業種について新たな在留資格を創設し、4月から受け入れを始めることを決めた。一定の能力を持つ外国人労働者に「特定技能1号」と「2号」の2種類の在留資格を用意。「1号」から技能を向上させると認定される「2号」では家族の帯同や永住も可能だ。同様の権利が与えられている日系人が先行事例となる。

 「ボンジーア(おはよう)」「オブリガーダ(ありがとう)」。福井県越前市役所の市民課窓口では朝から夕方までポルトガル語の会話が飛び交う。人口約8万人の同市に暮らす外国人は日系ブラジル人を中心に約4000人。5年間で3割以上増え、行政は対応に追われている。日本語を話せない外国人も多い。通訳をこなす日系ブラジル人職員ハマザキ・タカノ・アドリアナ・エイコさん(44)は「赤ちゃんの健診から市民住宅への入居など多様な手続きを少人数でサポートするため、毎日忙しい」と話す。

 来日した子供たちのケアも課題だ。日系人らは、スマートフォン向け部品を製造する村田製作所の子会社工場などで派遣社員として働く。夜間勤務も多く、子供だけで自宅で過ごす時間も多くなりがちだ。越前市は外国人の子供向けの居場所づくりや夜間・休日の日本語教室開催に取り組む方針だ。日本語教育に詳しい関西大学の池田佳子教授は「基礎レベルの習得でも300時間以上の学習が必要。日本で長く働き、生活していけるように言葉を学ぶ場の充実が必要」と話す。

説明や救済を求めて抗議行動を行った労働組合「ユニオンみえ」の外国人労働者たち=三重県庁前で2018年12月10日午後0時5分、山本萌撮影
シャープ側との話し合いを求めて亀山工場を訪れた、外国人労働者とサポートする労働組合の関係者=三重県亀山市で2018年12月27日(ユニオンみえ提供)

 日系人に多い工場派遣という働き方は、「調整弁」として不安定な立場に置かれるリスクがつきまとう。三重県亀山市のシャープ亀山工場では昨年、米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の部品生産を縮小した影響で約3000人の外国人が雇い止めされた。08年のリーマン・ショックの際も、景気悪化で製造現場で働く日系人の多くが派遣切りに遭い、失業を余儀なくされたことをほうふつさせる。今は人手不足のため、再就職できた日系人も多いが、「新しい仕事を探すのは年齢的に厳しい」(68歳の男性)など生活苦に陥った人もいる。越前市内の工場で働く日系3世の沖村セルジオ正明さん(39)も「ブラジルより収入が良いので日本で働き続けたいが、経済環境が変わればどうなるか分からない」と不安をのぞかせる。

 外国人技能実習生を巡っては「使い捨て」のような過酷な労働現場も多く、失踪する事例も相次ぐ。外国人への対応を誤ると、見捨てられるのは日本の方だとの指摘もある。人口減少が見込まれる中国が大量に外国人労働者を呼び込み、人材獲得競争が激化する可能性があるからだ。外国人労働に詳しい近畿大学の片岡博美教授は「人口減少で労働力としてだけでなく、地域の担い手としても外国人に頼らざるを得なくなる。日本を選んでもらえるように、安定した雇用先の確保や地域に溶け込めるように外国人を支援する取り組みにもっと力を入れるべきだ」と指摘する。【真野森作、加藤美穂子】

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