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米露さらに冷却 中露は関係強化へ「一緒にウオッカ」首脳同士も蜜月

記者会見でINF全廃条約からの離脱を発表するポンペオ米国務長官=米ワシントンで1日、AP

 【ワシントン会川晴之、モスクワ大前仁】米国とロシアが中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱をそろって表明したことで、米露関係はさらに冷却化する可能性が高い。一方でロシアはこの数年、米国に対抗するために中国に急接近しており、中露連携の動きが加速しそうだ。

 「モスクワは北京との戦略的関係をより強化するだろう」。米国の情報機関を束ねる米国家情報局は、1月末に公表した最新の「世界の脅威評価」で、中露の接近に強い警戒感を示した。核超大国のロシアと、経済超大国の中国が組めば、米国の安全保障にとって大きな脅威になるとの認識がある。

 中露の急接近は、ロシアが2014年にウクライナのクリミア半島を一方的に併合したことがきっかけだ。欧米から厳しい経済制裁を受けたロシアは、軍事・政治両面で従来の政策を変え、最新鋭地対空ミサイル「S400」、最新鋭戦闘機「スホイ35」の中国への輸出を認めた。それまでロシアは、露製兵器を中国が無断複製することに立腹、最新鋭武器の輸出を制限していたが、方針を転換した。

 軍同士の関係強化も図る。両国海軍は15年の地中海での合同演習を皮切りに、南シナ海やバルト海で合同演習を続ける。機密情報の共有も進めているとみられ、18年にはロケットエンジンの共同開発も決めた。宇宙空間での米国の圧倒的優位を崩そうと、中露両国は衛星攻撃兵器(ASAT)の開発などに注力している。強力なロケットエンジンが手に入れば、ASATの実現が容易になる。

 首脳同士も蜜月関係を築く。プーチン露大統領は昨年5月、中国メディアに「ウオッカをあおりながらソーセージを一緒につまんだ。私の誕生日をともに祝ってくれた首脳は彼だけだ」と述べ、中国の習近平国家主席との強固な信頼関係を自慢した。両首脳は20回以上も会談。習氏が最も多く訪問している外国の首都はモスクワだ。

 トランプ米政権は、ロシアが16年の米大統領選に関与した疑惑を巡り、断続的に対露制裁を発動した。これを受け、ロシア経済は米ドルへの依存を急速に減らし、中国経済との相互依存を加速させている。

 露中央銀行が1月発表した18年第2四半期のドル保有高は、1010億ドル(約11兆円)で第1四半期から半減した。代わりにユーロと人民元をそれぞれ440億ドル相当増やした。ロシアの外貨準備高に占める人民元の比率は、第1四半期は5%だったが、第2四半期は15%に急増している。

 メドベージェフ露首相が昨秋に中国を訪れた際には、自国通貨ルーブルと人民元の直接決済を拡大させる試みが議論された。

 米国では中露の接近を憂慮する声が上がる。米ハーバード大のアリソン教授は昨年12月の米誌への寄稿で、カーター政権時代に大統領補佐官を務めたブレジンスキー氏が生前に「米国にとって最悪のシナリオは、中露大連合だ」と指摘したことを紹介。その状況がまさに起きつつあると警鐘を鳴らした。

 1971年、ニクソン政権のキッシンジャー大統領補佐官(当時)は、電撃的に中国を訪問し米中国交回復に道を開いた。キッシンジャー氏は著書で、ソ連と中国の連携は「恐ろしい結合」とし、中ソの一枚岩を阻むことが「ニクソン政権の対ソ戦略の鍵」と記した。

 だが、トランプ政権は17年に公表した「国家安全保障戦略」で、中国、ロシアは米国にとっての「戦略的競合国」と位置づけた。この方針が中露接近を促す形となっている。

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