テーマ展

古代「海人」暮らし探る 西予・県歴史文化博 /愛媛

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(上)横から見た船が線刻された新谷森ノ前遺跡の弥生土器=愛媛県西予市宇和町卯之町の県歴史文化博物館で、松倉展人撮影、(下)縦の線刻は乗船者と見られる=「愛媛県埋蔵文化財センター研究紀要」より 拡大
(上)横から見た船が線刻された新谷森ノ前遺跡の弥生土器=愛媛県西予市宇和町卯之町の県歴史文化博物館で、松倉展人撮影、(下)縦の線刻は乗船者と見られる=「愛媛県埋蔵文化財センター研究紀要」より

 魚を取り、塩を作り、交易する。絵画土器に描かれた「船に乗る人々」の暮らしは--。弥生時代から古代の瀬戸内に生きた人々「海人(かいじん)」の姿を考古資料から探るテーマ展「瀬戸内の海人たち」が西予市宇和町卯之町の県歴史文化博物館で開かれている。6月16日まで。【松倉展人】

 同館の冨田尚夫・専門学芸員によると、船が描かれた土器は国内で50点が確認され、うち瀬戸内海沿岸で16、県内では4点の出土例がある。今回はいずれも今治市の「新谷(にや)森ノ前遺跡」(新谷)、「下経田(しもきょうでん)遺跡」(朝倉下)の絵画土器を公開している。

 新谷森ノ前遺跡の出土例は弥生時代後期前半(1世紀ごろ)の鉢形土器の上部に、横から見た船が描かれている。長さは約6センチ。船首と船尾は大きく上に反りかえり、縦に描かれた14の線刻は乗船者を、船底から垂れ下がる一つの線は櫂(かい)を示すとみられる。

 この遺跡では竜を描いた弥生時代の壺(つぼ)形土器も見つかっている。洪水に悩まされた弥生人が中国から入った「水神思想」に基づいて竜を祭ったと推察され、関連が注目されている。

 また、下経田遺跡の絵画土器は弥生時代の終わりから古墳時代初期(3~4世紀ごろ)のもので、壺形土器に大型船や網、魚と思われる絵が線刻され、漁労の様子を示したと考えられている。両遺跡の発掘調査は国道196号今治道路の建設に伴い、2011、12年度に県埋蔵文化財センターを主体に行った。

 テーマ展では九州北部産とみられる滑石(かっせき)の漁具で、海に生きる弥生人が玄界灘から携えてきたとみられる「九州型石錘(せきすい)」(四国中央市・上分西遺跡出土)などの漁具、各時代の製塩土器などを含め約200点を展示。冨田学芸員は「身近な資源で多様な『なりわい』を生み出してきた海人文化を知る手がかりになれば」と話す。

 観覧料は高校生以上510円、65歳以上260円。中学生以下無料。今月16日午後1時半~午後3時には「考古講座」として冨田学芸員が同展のみどころを話す。問い合わせは同館(0894・62・6222)へ。

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