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社説

FRBの方針転換 あしき前例とならないか

 釈然としない突然の方向転換だ。

     米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が、2015年末から続けてきた利上げを、当面、停止すると表明した。

     08年のリーマン・ショック後に大量購入した米国債などの資産残高を減らしていく作業も、早めの終了となる可能性があるという。

     わずか6週間前に開いた前回の政策決定会合では、0・25%の利上げを予定通り実施。パウエル議長は、19年中に2度の追加利上げが適切だと言明していた。

     危機対応型の政策を正常化させる取り組みのUターンである。一体、何があったのか。

     確かに前回の利上げ後、株式市場が急落するなど市場が動揺した。だが今年に入り、株価は順調に値を戻している。一方、中国経済の減速や英国の欧州連合(EU)離脱に関する懸念は今始まったわけではない。

     なかなか説得力のある変更理由が見当たらないのだ。しかも、現在の2・25~2・5%という水準は、当初目指した3・5%に遠い。

     勘ぐられるのが、トランプ大統領からの圧力だろう。

     もちろん「政治の力に屈した」と裏付ける事実はない。パウエル氏も政治的配慮を否定している。

     ただ、FRBがトランプ氏の影響を受けたとの臆測が出ること自体、懸念すべきことではないか。

     トランプ氏は、自らの度重なる反対にもかかわらず12月に利上げを断行したFRBやパウエル氏個人を猛攻撃した。議長の解任を検討しているとの報道もあった。

     実際、利上げ休止の方針が打ち出され、ニューヨーク市場の株価が上昇すると、大統領は「すばらしい」とツイートした。「実績」とみなし、再度FRBに注文を付けてくるのは想像に難くない。「FRBは屈する」との思惑から市場が先に反応し、結果としてFRBが政策の自由度を失うことになりかねない。

     中央銀行の独立性を傷つける政治指導者は当然非難されるべきだ。中銀が自国経済にとって最善と判断した政策を取りにくくなるからだ。

     しかしそうした指導者が現に存在する以上、中銀はよりわかりやすく説得力のある説明で市場を味方に付けるしかない。

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