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余録

中堅メーカーの万年係長…

 中堅メーカーの万年係長、八角(やすみ)民夫、50歳。会議で居眠りをするぐうたら社員は「居眠りハッカク」と呼ばれている。公開中の映画「七つの会議」で野村萬斎(まんさい)さん演じる主人公だ▲組織はなぜ腐敗し、その中で個人に何ができるのか。映画のコピーのように「働くことの正義」を自問しながら、自らの生き方を貫いたのがハッカクだった。日産のカルロス・ゴーン前会長の記事を読むにつけ思うのは、日産にもそんな葛藤を抱えた社員がいたのではないかということだ▲平成末期は大手メーカーによる製品データ改ざん問題などが相次ぎ、日本のものづくりの根幹が大きく揺らぐ。コンプライアンス(法令順守)のかけ声も広がるが、不祥事は絶えない。社内規則作りに追われるばかりで「コンプラ疲れ」という言葉さえ聞こえてくる▲「七つの会議」のセリフのように原点に立ち返ることはできるのか。「仕事っちゅうのは金儲(もう)けじゃない。人の助けになることじゃ。(略)そうすりゃあ、金は後からついてくる。客を大事にせん商売は滅びる」▲萬斎さんの主演映画に「のぼうの城」がある。武蔵国・忍城(おしじょう)の城代は戦国時代、「でくのぼう」の意味で「のぼう様」とはやされた。だが実は臣下や農民の人望が厚く、いざとなれば底力を発揮する。「居眠りハッカク」と重なる▲豊臣方2万の軍勢による水攻めに屈せず、数百の兵で挑んだ。いつの世も、人を動かし組織を変えられるのは、自分の利益を顧みず、貫ける正義を持つ人ではないか。

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