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社説

政府の財政見通し 放漫を正当化するだけだ

 借金まみれの危機的状況に向き合わず、放漫財政を正当化するだけとしか思えない。

     政府は、財政健全化の指標である基礎的財政収支の新たな見通しを示した。政策に使うお金を借金に頼らず賄えているかを示すもので、今は国と地方の赤字が15兆円だが、黒字化の時期が従来見通しより1年早い2026年度になったという。

     政府は社会保障費の伸びを抑えた効果と説明している。昨年決めた黒字化の目標時期は、見通しより前の25年度にしており、それに近づいたとアピールしたいのだろう。

     しかし甘い前提に満ちたものだ。

     まず成長率を名目3%と現実離れした高い想定にしたことだ。成長率を高く見積もるほど税収も多く見込める。不人気な歳出抑制に本格的に取り組まずに済むことになる。

     だが、政府が「戦後最長」とみている今の景気拡大期でも名目成長率は平均1・8%に過ぎない。第2次安倍内閣発足から6年かけても届かないのに、なぜ急に伸びるのか。

     歳出の見込みも楽観的に過ぎる。

     今年10月の消費増税に備え、政府は2兆円強の手厚い景気対策を打ち出した。予定の2年間で終われば歳出は減るという。ただ、いったん始めた景気対策は与党の要求などでなかなかやめられないのが通例だ。

     そもそも25年度の黒字化目標自体が安倍晋三首相に都合のいいものだ。以前は20年度だったが、先送りしたのは首相である。高成長を当てにして予算を膨らませたが、税収が想定ほど増えなかったからだ。

     黒字化は首相の自民党総裁任期が終わる21年より先だ。今回の見通しは健全化が進んだように見せかけ、首相は大盤振る舞いができるからくりとみられても仕方がない。

     見通しには別の試算もある。名目成長率が1%台後半と現実的想定だ。26年度の基礎的財政収支は6兆円超の赤字となる。黒字化には歳出をかなり抑える必要がある。

     団塊の世代が75歳以上になり始める22年度からは社会保障費が急増する。早く黒字化しなければ、将来世代の負担が膨らむばかりだ。

     消費増税で国民に負担を求める以上、首相は健全化の明確な道筋を示す責任がある。現実的想定を踏まえ歳出抑制に本腰を入れるべきだ。

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