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余録

幕末の1859年3月、出漁した壱岐・郷ノ浦の漁民が…

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 幕末の1859年3月、出漁した壱岐(いき)・郷ノ浦の漁民が五島沖で南からの強風によって遭難し、53人が亡くなった。地元で「春一番」と呼ばれていた春先の嵐で、以来毎年、郷ノ浦で慰霊祭が営まれた▲その約1世紀後、民俗学者の宮本常一(みやもと・つねいち)は壱岐で「春一番」という言葉を採集し、俳句歳時記に紹介したことでこの言葉が全国に広がる。春先、日本海で発達する低気圧が南から暖かく湿った空気を呼び込んで起こる「春一番」である▲今、北日本と沖縄を除く各地の気象台が発表している「春一番」は、立春から春分までの間、その年の最初に吹いた南よりの強い風をいう。その立春のきのう、気象台は北陸地方で昨年よりも10日早く「春一番」が吹いたと発表した▲まさに立春と同時、最も早い春一番である。金沢ではきのう未明に南西の風14・3メートルを記録した。南の風の吹き込んだ太平洋岸も気温20度を超える地域が続出する立春となったが、風速は「春一番」宣言の基準を超えなかったようだ▲むろんこれですぐ春になるほどお天気の神様は甘くない。春一番を吹かせる低気圧は北日本には吹雪をもたらし、東の海上に抜けては西高東低の冬型気圧配置を作り出す。関東地方もきのうの夜から一転、「寒の戻り」を迎えている▲「火災、フェーン現象、山の暴風雪、雪どけ洪水、雪崩、海難を含む春先の災害の主人公」は半世紀前の「春一番」の説明である。異常気象が常になった今、春先の荒々しい気候への警戒も思い出さねばならない。

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