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毎日フォーラム・パラスポーツ

立石イオタ良二(肢体不自由者卓球)

「今できることは全てやりたい」と話す日本肢体不自由者卓球協会広報担当の立石イオタ良二さん=東京都港区の日本財団パラリンピックサポートセンターで2019年1月17日

個性的な「もう一つの卓球」で普及促進

 パラの卓球台も、一般の卓球と同じ長方形だ。だが、日本肢体不自由者卓球協会は昨年暮れ、個性的な形の卓球台を実際に作り、インターネットで公開した。卓球台でネットを挟んだ相手側より手前が長く面積が広い▽前方後円墳型▽左側面に直角三角形を付け加えたような形--。

     パラ卓球の選手には自身の障害やその程度によって不自由がある。左足首が曲げられない岩渕幸洋(24)ら日本代表の選手らが普段感じていることを、具体的に形や広さで表現した。同協会が「PARA PINGPONG TABLE」と名づけた「パラ卓球台」の開発メンバーで、協会広報の立石イオタ良二(33)は「個性あふれる『もう一つの卓球』や、それゆえに生まれる面白さを知っていただきたい」と話す。

     立石は、福岡市で創業99年目となる額縁店の4代目。兄でパラ卓球日本代表の立石アルファ裕一(35)=二分脊椎症=が小学校の卓球クラブに入り、自身も小学5年から始めた。当初は知らなかったが、実は母が国体選手。母の兄の小園江慶二・元シンガポール代表監督の卓球教室に通って腕を磨いた。

     福岡・柳川高3年の時、九州高校総体でシングルス、ダブルスとも優勝。全国でもシングルス5位に入った。専修大4年で全日本選手権、全日本学生選手権ともダブルスで7位に食い込んだ。卒業を控え、実業団や、国体開催に向けて選手強化を狙う自治体などから声がかかった。だが、家族との相談で家業を継ぐことになり、福岡の実家に戻った。その後も現役は27歳まで続け、全日本クラブ選手権の団体戦で4位に入ったが、不完全燃焼との思いが残った。

     パラ卓球には、兄のコーチとして、全日本選手権などに帯同するようになり、2014年3月に北京で開かれた世界選手権で「監督がいない」と誘われて就任。16年9月のリオ・パラリンピックもコーチとして参加した。

     「不完全燃焼」の思いが、一気に変わったのは、スロベニアで15年にあった国際大会だった。外国の男性選手がラケットを口で操り、右足の指で球を投げ上げてサーブしていた。列車事故で両腕を失ったというイブラヒム・ハマト(エジプト)だった。立石が「なぜ卓球をやっているのか」と尋ねると、ハマトは「This is my life.(これが、僕の人生)」と答えた。妻と出会えたのも、生活できるのも卓球のおかげだという。それを聞き、兄や周りのパラ卓球選手たちは自分にないものを持ち、生きる力があると感じた。自身も一度あきらめた卓球界で、国際舞台に立てている。それに感謝した。

     パラ卓球界からは、チョウの飾りをたくさん付けて戦い、「バタフライマダム」の愛称を持つ車いす卓球の別所キミヱ(71)ら人気選手も生まれた。だが、立石は「メディアには出ても、広告としての価値は上がっていない」と冷静だ。「その報道も21年以降、続くのか。続けてもらうために、今できることは全てやりたい」と話す。例えば、障害の有無に関係なく出られる卓球大会や、商業施設などでの卓球普及事業などを企画して開く。

     希望もある。必ず周囲が助けてくれる。また、仕事で出会った25歳と23歳に、パラや障害のある人の活動を紹介すると「すごいじゃないですか」と反応した。若い世代が先入観なく受け取ってくれた。それは「でかい」と感じている。=敬称略(毎日新聞社オリンピック・パラリンピック室委員、山口一朗)

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