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アートの地平から

アジアの木版画の訴求力=住友文彦

タリン・パディ「環境破壊」2009年、福岡アジア美術館蔵

 2カ月程前に台湾を訪れたとき、あちこちで環境保全や先住民族差別などを扱う作品の展覧会を目にした。表現者も美術館も複雑な社会問題こそ芸術が向き合うべきだという姿勢が鮮明でおどろいた。いっぽうで日本では女性への差別が報道されても、他国ほど#MeToo運動の高まりは感じない。社会問題を風刺的に扱うバンクシーをめぐる騒動もどこか上滑り感がある。実際のところ、美術愛好家で社会問題を扱うことを毛嫌いする人は少なくない。美しいものを見ることで精神の平穏や、教養を得る。そうした鑑賞の仕方を理想と考えるからだろう。

 ここには同じ美術でも異なる捉え方が見いだせる。当館ではじまったアジアの木版画運動を紹介する展覧会には、各地で民主化や労働者の権利を訴える手段だった作品が並ぶ。インドネシアのタリン・パディは巧みな画面構成で工場による環境破壊と民衆の訴えを伝える。同じく線で描く漫画も印刷したときの効果が大切で、大衆向けの訴求力を重視している。これらはただ鑑賞されるのではなく、マスメディアが報じない周縁化された問題を…

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