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社説

豚コレラの感染拡大 防疫態勢の甘さが招いた

 家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の感染が5府県に拡大した。昨年9月以降、岐阜県内で発生が続き、国と県が拡大防止に取り組んでいたが、愛知、長野、大阪、滋賀の4府県でも新たに感染が確認された。

     防疫態勢に甘さがあったと言わざるを得ない。関係機関は、感染ルートの解明や養豚場の衛生管理の徹底を急ぐ必要がある。

     豚コレラはウイルス感染で起きる豚とイノシシの病気で、致死率が高い。治療法はなく、感染が確認された養豚場の豚は殺処分される。国内での発生は1992年以来だ。

     ただし、ヒトには感染せず、感染した豚の肉を食べても問題はない。

     岐阜と愛知では、豚を診た獣医師らがすぐには豚コレラを疑わず、初動が遅れた。愛知の養豚場では、豚の体調の異変を認識しながら出荷が続けられ、感染を広げてしまった。

     豚コレラの初期症状は発熱や食欲不振などで、他の病気と区別しにくいとされる。だとしても、愛知の事例は理解に苦しむ。隣の岐阜で豚コレラが発生したことに県や農家が危機感を持っていれば、もっと迅速な対応ができたのではないか。

     畜舎に入る時は専用の靴や衣服に替える。野生動物が畜舎に出入りしないようにする。出入りする車両は十分に消毒する。防疫対策の基本だが、感染が起きた施設では徹底されていなかった可能性がある。

     岐阜の感染は、ウイルスを含む食品を海外旅行者が持ち込み、それを食べた野生のイノシシを経由して広がったとみられている。

     全国の畜産農家は、今回の感染を人ごととせず、対策の基本を着実に実施してもらいたい。他の感染症の防止にもつながる。

     豚コレラの感染予防にはワクチンの投与が有効だが、農水省は否定的だ。使用すると、国際機関が認定する豚コレラの「清浄国」から長く外れ、輸出などに影響が出るためだ。

     しかし、感染が拡大するようなら、検討が迫られることになろう。

     中国では、豚コレラより致死率が高い「アフリカ豚コレラ」が流行している。治療法もワクチンもない。

     昨年10月以降、中国からの旅客が持ち込もうとした豚肉製品から、このウイルスが相次いで検出された。水際対策の強化も欠かせない。

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