メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

漫画「翔んで埼玉」 原作者・魔夜峰央さんに聞く 「県民の鷹揚さ、日本一」

「翔んで埼玉」原作者の魔夜峰央さん=東京都中央区銀座の東映本社で2019年2月8日、橋本政明撮影

 埼玉を見事に「ディスっている」と話題になった漫画「翔(と)んで埼玉」が実写で映画化され、22日から全国で上映される。大ヒット作「パタリロ!」(コミックス100巻)で知られる原作者の魔夜峰央さん(65)は「笑って受け入れてくれるのは埼玉だけ。その鷹揚(おうよう)さは日本一」という。【松下英志】

 --この漫画を描いたきっかけは?

 三十数年前ですから全く記憶にございません。ただ後付けで考えると、東京へ出たいと思って当時の編集長に相談したら、じゃあ所沢にしなさいと。住みやすく西武線沿線は結構、漫画家も住んでいて出版社からのアクセスも良い。行ってみたらすぐそばにその編集長と、もっと怖い編集部長が。監視のためと分かった時は手遅れで、脱出に4年掛かりました。多分そういう鬱憤をどこかで晴らしたかったんじゃないかと。

 --3話で未完となったのは。

 所沢に住む(埼玉県民の)自分のことを悪く描くのだから問題ないだろうと考えていたんだと思いますが、その後、横浜に引っ越して描けなくなりました。横浜から所沢をおとしめたら、いじめになっちゃいますから、それは無理だろうと。

「このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉」(宝島社)の表紙

 --当時の埼玉の印象はどうでしたか。

 いいところだと思いましたよ、何もなくて。青い空と緑のネギ畑しかないんですね、印象が。出身の新潟では冬に太陽が見えることはまずないんですが、所沢で雲一つない空を初めて見た気がしました。これが本当の空なんだなと感動したのを覚えています。

 --漫画は4年前に復刻されました。

 全く理解できなかったですよ。ホントになぜ今。私自身が一番びっくりしたんだと思います。不思議なことがあるもんだなあという感じしかないですね。

 --しかも映画に。

 「正気かお前ら、本気ですか」と。

 --ご覧になって。

 面白いですね。押さえてほしいツボを全部押さえてるって感じ。群馬の空を飛んでるプテラノドンが一番好きですね。川を挟んでのカード合戦とか無意味なことを、これでもかとやってるでしょ。もう完璧です。

 --埼玉以外で「翔んで○○」は。

 無理です。笑って受け入れてくれるのは埼玉だけだと思う。他の県なら、ただバッシングを受けるだけで終わると思います。埼玉だから良かったっていうか、成立したってことですよね。

 --遠慮がちで自慢しない埼玉県民にエールをお願いします。

 一番の問題はこれっていう売りがないところだと思うんですが、他のものは全てバランス良く何でもそろってる。だから埼玉の方たちはアピールする必要がないんです。何かで有名な県でも何かが足りないとギスギスしてくるんじゃないかと。埼玉の方たちはものすごく鷹揚に、何でも笑って受け入れられる。それはすごい。日本一なんでしょうね。だからこの本は埼玉で一番売れているんですね。映画も埼玉で一番ヒットしてほしいです。=次回は武内英樹監督のインタビューです。

漫画「翔んで埼玉」

 魔夜峰央さんが1982年に発表したギャグ漫画。埼玉県民が東京都民に虐げられている架空の世界で主人公らが埼玉解放に立ち上がるストーリー。3話のみで未完ながら、2015年に「このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉」(宝島社)として復刻され、今年1月までに69万部を突破する人気に。埼玉県民が都内に入るには通行手形が必要で、「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」などとディスる場面が随所にある。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ドナルド・キーンさん死去 96歳 日本文学研究者、翻訳で国際化に貢献
  2. 戦後70年 今も続いている国民への忍耐押しつけ
  3. 「おまえのせいでとれなかった。殺すぞ」 ポケGO中か 警察官殴った疑い、男逮捕
  4. 器物損壊 車内で体液かける 府教委指導主事に有罪判決 地裁 /京都
  5. 時代の風 日本人の変わらぬ中国観 自国の立ち位置、直視を=城戸久枝・ノンフィクションライター

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです