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社説

統計部門の立て直し 独立した組織に一元化を

 政府の統計不正が同時多発的に広がり、個別の対症療法ではもはや済まない局面となっている。

     統計は近代国家の基礎である。その調査手続きという基本ルールの違反が長年にわたり放置され、見過ごされていたのだから事態は深刻だ。 問題の発端となった厚生労働省の毎月勤労統計の場合、調査方法が無断で変えられたうえ、約15年後にこっそりと補正されていた。

     直近の担当だった同省の大西康之前政策統括官は衆院予算委員会で、昨年12月13日に初めて不正を知ったと説明した。無責任な体質がはびこっていたと言わざるを得ない。

     不正の背景には、統計を軽視する政府の姿勢がある。統計を担当する政府職員はここ10年で約1900人に半減した。地道な分野だけに、人員や予算削減の標的となった。

     政策の重要な基礎資料となる56のデータは基幹統計に指定されている。だが、厚労省の人口動態統計、経済産業省の工業統計、総務省の労働力統計など9省庁に所管は分散している。しかも各省で事務を統括する幹部の多くは統計に精通しておらず、監督が行き届きにくい。

     各省による統計作成が適切に行われているかどうかは、総務省統計委員会の下で監視する仕組みだが、機能が不十分だったのは明らかだ。一省庁の組織が各省ににらみをきかせることはやはり難しい。

     主要国の多くは統計作成を国の基本に関わる業務と位置づけている。英国は主な統計を英国議会に属する国家統計局が担う。2000年ごろから統計機関の行政からの独立性が議論されたためだ。米国は主要統計作成だけでも、約9000人の職員が事務にあたっている。

     安倍晋三首相は「総合的な対策を講じていく」と表明した。不正の検証にとどまらず、統計の位置づけ自体を見直していく必要がある。

     独立性の高い「統計庁」のような組織に作成事務を一元化し、第三者機関が監視する仕組みを検討すべきだ。調査方法の技術革新など、適切な効率化を進めるうえでも、縦割りの廃止はむしろ有効だろう。

     日本はさきの大戦で客観的な数値を軽んじ、致命的な誤りを犯した。統計不正の警告を政府はもっと重く受け止めるべきだ。

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