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<春疾風(はるはやて) 第91回選抜高校野球>
関東地区大会を終えたばかりの昨年10月末。横浜の平田徹監督(35)は横浜高校長浜グラウンド内の監督室に、吉原大稀選手(2年)を呼び寄せた。椅子に腰を下ろしリラックスした雰囲気の中で、こう問いかけた。「今どんな課題を抱えている?」。吉原選手は「毎回、変化球を打たされてしまいます……」と答え、対話が続いた。
平田監督「それを克服するためにはどうしたらいいと思うか」
吉原選手「速球に合わせて甘い球を打つのではなく、変化球を狙ってバットを振りたいと思います」
平田監督「その通りだ。自分を信じてしっかりやってみろ」
平田監督は選手と個別にコミュニケーションをとることを重視している。相手に現状や課題、その解決策を話させては傾聴して共感し、気づきを促し、やる気を引き出す指導を心掛けている。
変化球を打つときに体が開いてしまうという吉原選手。監督との対話は「自分でうすうす気づいている課題を改めて強く印象づけてくれた」と話す。対話を機に他の選手のスイングも参考にするなど自ら考えるようになり、課題を克服しようとしている。
選手たちは練習中もさまざまな問いかけを受ける。「今のプレーはどうだ。良いと思うか」「なぜ良いと思うのか」--。プレーを止めては何度も考えさせる。「答えらしい答えを与えず、投げかけばかりです」と平田監督。もちろん意図がある。野球はサインに従うことも多いが、選手が状況判断しなければならない局面も無数にある。普段からそれを自覚させることで自主性、責任感を身に着けてもらおうというのだ。
横浜OBで元主将の平田監督はコーチなどを経て、2015年に監督に就任した。名門の伝統を受け継ぎつつ時代の流れに合わせて練習方法を変えているが、一貫して対話型の自主性を育む指導を続けている。昨夏に甲子園で敗退後、信念はより強まったという。
冨田進悟選手(1年)は練習の特徴の一つをこう説明する。「フリーバッティングは自分の課題を克服する時間。自分が好きなところにいていい。課題はそれぞれだから」。打撃に集中してもいいし、この日は守備に徹しようなど、自由に選択する。
「考えることを求められるからこそ、責任感が生まれ、野球がもっと楽しくなる」と平田監督は言う。技術指導は最小限にとどめ、野球の監督というより「学校の先生」の気持ちで選手たちに接している。グラウンドの選手とベンチの監督が以心伝心、あうんの呼吸で通じ合える、そんな理想のチーム像を描く。
選手の視線に立った指導で冬場に培われた自主性と責任感。センバツの舞台は近づいている。課題を克服した選手たちは、その成果を発揮する場を心待ちにしている。【洪〓香】
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