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華恵の本と私の物語

/31 本日は大安なり

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 「結婚けっこんおめでとう! いわってなかったね」

     いいよ、とひろみは遠慮えんりょがちにわらう。

     なんねんまえにひろみとったころ、浮気うわきしょうかれにいつもおこっていたが、そのかれとし結婚けっこんしたらしい。

     「かれのおかあさんとはどう?」

     以前いぜんかれのおかあさんがわせてくれない、とはなしていたことがあった。

     「それがね……」

     結婚けっこんまえかれさそわれて軽井沢かるいざわ別荘べっそうまりにったときのこと。早朝そうちょう、チャイムがった。かれこそうとしても、びくともしない。あわてて玄関げんかんかうと、さむすぎて、からだふるえた。まどそとにはゆきもっている。いそいで客間きゃくまのソファにある毛布もうふをかぶって玄関げんかんた。

     「すると、かれ伯母おばさん、つまりかれのおかあさんのおねえさんがっていたの」

     えー!とわたしはこえげた。毛布もうふをかぶって伯母おばさんのまえつなんて。かれといっしょにていたのか!とおこられそう。

     「そのぎゃくだったの」

     伯母おばさんはひろみをて、わらしたとう。

     「あとからいたら、かれまえ彼女かのじょにも、なんかいおな場面ばめんくわしたことがあったらしいの」

     そのときは、チャイムをらしても、てくるまでにかなり時間じかんがかかった。そして、てくると、メークをばっちりしていたり、口紅くちべにかったりしたらしい。でも、ひろみは、玄関げんかんさきにいるひとたせてはいけないとおもい、パジャマに毛布もうふというずかしい格好かっこうた。ひとのためにとっさにいそいでうごこうとする、ひろみらしい行動こうどうだ。

     その伯母おばさんがかれのおかあさんとはなし、ひろみは結婚相手けっこんあいてとしてみとめられた。

     「どこでおやのOKがるかわからないものだね」

     「本当ほんとうだね」

     その結婚式けっこんしき直後ちょくご妊娠にんしんがわかった。でも、そのながれてしまった。ひろみは自分じぶんめたが、かれのおかあさんと伯母おばさんはだれよりそばにいてくれたとう。

      + + + +

     「本日ほんじつ大安たいあんなり」は、結婚式場けっこんしきじょうのある一日いちにちえがいたほんです。花嫁はなよめが、自分じぶんとそっくりのふたごのあねわり、自分じぶんおっとがそれにづくかをためしていたり、既婚きこんしゃなのに、浮気うわき相手あいて結婚式けっこんしきをあげようとしている男性だんせいがいたり。いろんな気持きもちが交錯こうさくしています。

     でも、かくしごとや誤解ごかいが、とあるおおきなトラブルをきっかけに露呈ろていされていくのです。まさかの展開てんかいではあるものの、ひょんなことでなにかが解決かいけつしたり、ひと気持きもちがわったりするってリアルかも、ともおもわされました。

     とお将来しょうらいのこと、とおもっているそこのあなた。自分じぶんきなひと家族かぞく紹介しょうかいするは、意外いがいとすぐにやってくるかもしれませんよ。


    本日ほんじつ大安たいあんなり』

    辻村つじむら深月みづきちょ

    角川文庫かどかわぶんこ 691えん


     エッセイストの華恵はなえさんが、ほんにまつわるおもきなほん紹介しょうかいします

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