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1月下旬、自転車産業が盛んな中国の天津市・王慶〓(おうけいい)を訪ねた。中心部には自転車工場や部品メーカー、販売店などがひしめいているが、道行く人は少なく、静まり返っていた。「中国一の自転車の街」に何があったのか。
「昨年の今ごろは自転車を満載したトラックがひっきりなしだったんだけどね」。休業中の自転車工場の前でたばこを吸っていた運送業の男性は「今年は仕事がないから、春節(旧正月)の大型連休(2月4~10日)が始まる1週間以上も前から従業員を里帰りさせたよ」と肩をすくめた。
車で数分走ると、街を象徴する風景にぶつかった。広大な荒れ地に、数千台もの自転車が放置されている。車体には、北京を拠点とするシェア自転車の中堅業者「酷騎単車」の文字。同社は「10回の利用まで無料」という格安戦略で人気を集め、一時は140万台を超える自転車を全国に展開した。しかし、すぐに経営は行き詰まり、昨年、営業停止に追い込まれた。
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