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「クルーズ船で入国し失踪」外国人 初の年間100人超 九州で全体7割

博多港に入港した大型クルーズ船から上陸する外国人観光客ら。国内で上陸後に姿を消すケースが増えている=福岡市博多区で2019年1月10日午前7時52分、宮原健太撮影(画像の一部を加工しています)

 昨年クルーズ船で入国し失踪した外国人が106人に上り、年間の失踪者数が初めて100人を超えたことが、法務省入国管理局への取材で判明した。ビザ免除などでクルーズ船による訪日客が急増し、中でも中国から近く寄港回数も多い九州での失踪者が2017年は全体の約7割を占めた。大半は不法就労目的とみられ、就労先をあっせんするブローカーの存在も指摘されており、入管当局が警戒している。【宮原健太、浅野翔太郎】

 長崎港で17年の暮れ、中国人の50代の女がツアー客としてクルーズ船から下り立った。だが、女の目的は埼玉に不法滞在している息子に会うことで、中国人の仲介者とソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で連絡を取り入国した。クルーズ船を利用したのは仲介者からの指示だった。

 女は入国後、指示通り長崎市の平和公園で中国人留学生の男と落ち合った。男の運転で福岡に着くと新幹線のチケットを手渡され埼玉へ。帰国の資金などを稼ぐため息子と工場で働いたが、劣悪な環境に耐えられず東京入管に駆け込み、不法就労が発覚。長崎県警が昨年6~7月、女と留学生の男を入管法違反容疑で逮捕した。

 長崎県警は男が失踪を手助けした別の中国人の男女7人も逮捕したが、いずれもクルーズ船で入国していた。県警は背後に就労先をあっせんするブローカーや手配師が存在するとみて調べている。

 18年にクルーズ船で入国した外国人は約244万人で、14年の約41万人から6倍になった。ビザ免除など入国審査を簡略化した「船舶観光上陸許可制度」を15年に導入したことで、クルーズ船での日本旅行がしやすくなったことが大きい。一方で、上陸後の失踪者も急増し、15年の21人から18年は前年比27人増の106人に。寄港回数も多い九州で目立ち、15~17年に計29人だった長崎県では18年だけで20人を超えた。

 「中国のインターネットなどでは『クルーズ船は逃げやすい』という誤った情報が出回っている」。入管関係者は「クルーズ船の利用者数の規模からすれば失踪者は決して多くない」と強調したうえで、そう打ち明ける。

 当然、入管当局も警戒を強め、クルーズ船の運営会社に乗客の資産状況をあらかじめ確認させるなど対策を求めている。運営会社に乗船名簿を提出してもらったうえで入管担当官が乗客全員の過去の渡航歴などを確認し、不審点があれば入国を認めないなどの対応も取る。昨年7月には、失踪者が相次いだクルーズ船1隻について船舶観光上陸許可制度の指定を更新しない初めての措置を取った。

 外国人労働者問題に詳しい福島大の坂本恵教授(行政政策学)は「不法滞在をもくろむ外国人に狙われないよう、審査が厳格に行われていることをアピールすべきだ。それでも失踪者が減らないようなら入国の条件を考える必要がある」と指摘する。

船舶観光上陸許可制度

 訪日外国人の増加を目的に入管法を改正し導入。指定されたクルーズ船で入国した場合、同じ船で出国することや入国時の指紋提供を条件に、ビザ取得や入国時の顔写真撮影が免除される。入国審査は専用の機械に指紋をかざすだけで済むため、1隻当たり平均2時間半だった審査時間は60分以上も短縮された。日本に寄港するほぼすべてのクルーズ船が指定されている。

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