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解剖学者の養老孟司さんの評論集『神は詳細に宿る』(青土社)が刊行された。10年前から昨年までの間、雑誌に発表した8編の集成で、インタビューや講演の収録といった話し言葉で書かれたものが多く、読みやすい。とはいえ、これまでの著作と同様、語り口は平易でも独特な飛躍と展開があって、正確に理解するのは必ずしも易しくない。もちろん、その自在さが「養老節」の魅力なのだが。
タイトルは「神は細部に宿る」とも訳される格言だ。キリスト教世界から出たもの、という以上の説明はないが、詳細(細部)は英語のディテールに当たる。「詳細とは、言葉にできないものである。つまり伝達不可能なものである」と論じている。養老さんの好きな虫の世界が示す、自然の多様性は良い例である。
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