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余録

「歴史人口学」は第一次大戦後のフランスで始まった…

 「歴史人口学」は第一次大戦後のフランスで始まった。人口増のドイツに苦戦したフランスが政府主導で研究に乗り出したのである。それが少子化を克服する政策につながった▲過去の人口動態の分析を可能にしたのが教会に残る「教区簿冊」だ。教会で洗礼を受けた人々の出生、結婚、死亡などの記録が17世紀から年代記のように残っている▲日本では慶応大名誉教授の速水融(あきら)氏がこれに倣って江戸時代の「人別改帳(にんべつあらためちょう)」や「宗門改帳(しゅうもんあらためちょう)」を調べた。キリスト教禁止で始まった「宗門改帳」は家ごとに宗派、戸主と家族の名前が記されている。世界でも珍しい精密なデータという▲統計記録は時代を超えて研究や政策に生かされている。欧米の大学や政府機関は統計や人口に熱心だ。一方、日本の大学には専門の学科がない。少子化対策が後手に回るのも統計不正を長年放置してきたのも、人口や統計を軽視してきたところに原因があるのではないか▲小泉純一郎政権による構造改革で政府職員が削減されたことも指摘される。「省全体の削減の穴埋めに統計部門の職員がごっそり異動させられた。優秀な職員ほど持って行かれた」。当時を知る厚生労働省OBは統計部門の弱体化を嘆く▲日本の公務員数の対労働人口比は先進国内では最低水準だ。特に統計部門の職員数は人口比で見るとフランスの2分の1、イギリスの5分の1に過ぎない。しかし、行政のスリム化を求める声は強い。統計不正問題はこうしたことも私たちに問いかけている。

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