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社説

ゼロ金利導入から20年 「異常さ」すら忘れた異常

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 効果は確信できないが、追いつめられて未知の世界に入りこんだ。日銀が手探りのゼロ金利政策を導入したのは20年前のことだった。

     「アリスの国のようなワンダーランドに足を踏み込むことになる」。導入を決めた会議では、童話「不思議の国のアリス」になぞらえ、不安を口にする政策委員もあった。しかし、「わずかでも打つべき手が残っているのなら打ち尽くしてみるのも選択肢」と実験を決行した。

     それから20年。日銀はいっそう深みにはまった感がある。2度のゼロ金利解除は長続きせず、むしろ大規模な量的緩和、3年前のマイナス金利政策へとエスカレートした。

     極度の金融緩和がこれほど長期化した事実は、何より効果がなかったことの裏返しだろう。金利がゼロに近づいた段階で、金融政策は限界状態だったが、日銀はそれを認めようとせず、政府も打ち出の小づちの幻想にすがった。

     日銀が初めてゼロ金利政策を導入した頃、日本経済の深部では大きな地殻変動が始まっていた。現役世代の人口急減少である。

     今になり政府はあわてて外国から労働力を確保しようと躍起になっている。本来は20年前から、人口減少や女性の雇用環境の改善といった課題に本気で取り組むべきだった。金融緩和は処方箋ではなかったのだ。

     一方、低コストで資金を借り続けられるようになった政府は、その場しのぎの景気浮揚策を繰り返した。結果、借金の山は先進国最悪になってもなお増加を続けている。

     ゼロ金利政策や大規模な量的緩和策は海外の中央銀行も追随した。政府と民間を合わせた債務の合計は、世界全体で過去最高水準となっている。金利が本格上昇に転じれば深刻な問題を引き起こしかねない、新たな危機の芽を抱え込んだ。

     ゼロ金利時代の初期は、「異常な金利を続けていると、経済の活力を殺してしまう」(当時の速水優総裁)といった「異例」の認識があった。

     しかし日銀は、穴からの脱出を試みる度に円高と政治の圧力にさらされ、より深い所へ落ちていった。穴の中が常態化し「不思議の国」の感覚すらなくしてしまったようだ。

     そこにこそ落とし穴はないか。政策の功罪を総点検すべきである。

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