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社説

横田空域通過で日米合意 協定の改定をなぜ求めぬ

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 首都の空を米軍が握り、民間旅客機が自由に飛べない状態が続いているのは、異常と言わざるを得ない。

 東京の上空を覆う横田空域のことだ。1都8県に広がり、最高高度7000メートルに達する山脈状の巨大な空間である。

 米軍横田基地が航空管制を担う空域で、通過するには米軍の許可が要る。東西の空の自由な往来を阻み、羽田を離着陸する民間機は迂回(うかい)して運航するのが常態化している。

 日米両政府は、旅客機が横田空域の東端を通って羽田空港に飛来する飛行ルートを米軍が認め、通過中の管制も日本が担うことで合意した。

 このルートは、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた国際線増便計画を受け新設された。空域を通過するのは、東京都練馬区付近の上空を飛行する数分間だという。

 短時間のうちに進入と離脱で2度も管制が引き継がれるのは危険を伴う。安全を考えれば管制を日本が一元管理するのは自然だろう。

 日本の空の管制は航空法に定められている。日本の領空なのに米軍の許可を得て飛行するという理不尽がなぜまかり通っているのか。

 横田空域は、米軍基地周辺の管制業務について「米政府が行う」とした1975年の日米合同委員会の合意に基づいている。合同委員会は日米地位協定に根拠規定がある。

 もともと、52年の合同委員会で「一時的な措置」として米軍に認めた管制権だったのが、なしくずし的に米軍の既得権益になってしまった。

 問題なのは、日本の主権に関わる重要事項が、国会の関与もなく決められ、ルール化されていることだ。

 合同委員会は、外務省北米局長と在日米軍司令部副司令官が代表を務める官僚の枠組みに過ぎない。非公開で、議論の内容も公表されない。

 このため、米軍の管制権の位置付けの変遷も、どんな議論の結果なのかは不明だ。

 政府は、在日米軍には日本の国内法が適用されないと説明するが、国民の生活に影響を与えている問題が放置されていいわけがない。

 日本政府は地位協定の改定を正式に提案したことはない。だが、米軍に国内の航空法を適用するよう地位協定を改定したドイツの例もある。改定の提起に踏み出すべきだ。

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