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社説

統計不正で集中審議 不透明さが信用を損なう

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 政府統計の手法が時の政権の意向で操作されるようなことがあってはならない。そのような疑いが国会で俎上(そじょう)に載ること自体、統計不正問題の異常さを示している。

     衆院予算委員会できのう集中審議が行われた。アベノミクスの成果として賃金の伸びを高く見せたい意図が働いたとみる野党と、それを否定する政府との水掛け論に終始した。

     焦点は厚生労働省の毎月勤労統計で2018年に行われた従業員500人未満の事業所に関する調査方法の変更だ。従来はサンプルとなる事業所を2~3年ごとに全て入れ替えていたが、毎年一部を入れ替える方式に変わった。入れ替えに伴うデータの変動を抑える意味がある。

     この変更に賃金の伸び率を上ぶれさせる効果は想定されていない。しかし、入れ替え対象とならなかった共通事業所だけで前年と比較すると全体の伸び率より低く出たため、新サンプルの選び方が恣意(しい)的に操作されていないかとの疑念を呼んだ。

     政府側は合理的に原因を説明できていない。しかも、物価の変動を織り込んだ実質賃金について共通事業所分のデータ公表を拒んでいる。

     やましい点がないのであれば、統計不正の真相解明に全力を挙げるべきだ。国会の参考人招致や資料要求に前向きに応じようとしないから、疑念がなかなか払拭(ふっしょく)されない。

     安倍晋三首相は集中審議で、調査方法の変更について「最近になって初めて知った」と語った。

     ただ、この間の経緯を見ると、15年に首相秘書官が従来方式に対する「問題意識」を厚労省に伝え、その後の検討を首相が議長を務める経済財政諮問会議が主導してきた。15年といえば、アベノミクスの成果として国内総生産(GDP)や賃金の伸びを強調し始めた時期だ。

     一連の統計不正に共通するのは、決められたルールを官僚組織が勝手に破っていたことだ。厚労省の担当者は不正を隠し通そうとしたのか、昨年の調査方法の変更に合わせてひそかに数値を補正し、それが賃金の伸び率を不自然に上ぶれさせた結果、不正の発覚につながった。

     政府統計は政策決定や民間の経済活動などに幅広く生かされるべき国民の共有財産だ。不透明な取り扱いが政府全体の信用を損なう。

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