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社説

大津のいじめと自殺 因果関係を明確に認めた

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 いじめは人の命を危険にさらし、いじめた側は重大な賠償責任を負う。いじめの根絶に向けた司法の強い決意が表れた判決だ。

 2011年に大津市の中学2年男子生徒がいじめの末に自殺した事件について、大津地裁が元同級生2人の暴行が原因だったと、因果関係を明確に認めた。

 市が設けた第三者委員会はすでにいじめが自殺につながったと認め、市は遺族に和解金を支払っていた。だが、元同級生らは「遊びの延長だった」と否定したため、遺族が訴えていた。

 判決によると、最初は友人関係だった元同級生らがいじる側に、男子生徒がいじられる側になる関係が固まり、男子生徒に対する暴行が次第にエスカレートしていった。そして男子生徒は次第に孤立感・無力感を感じるようになったという。

 判決は「暴行の積み重ねで、元同級生から逃れられないという心理状態に陥り自殺することは、一般に予見可能といえる」との判断を示した。

 通常、いじめと自殺との関連については、どのくらいの程度なのかや、要因が複合的に重なる点などがあり、認められにくい。

 だが今回の裁判では、第三者委員会の報告書や、2人が保護観察処分となった家庭裁判所の事件記録など膨大な証拠が提出された。そうした事実を積み上げて、いじめが引き起こす重大性を認定した今回の司法判断には大きな意義がある。

 一般に、遺族は学校で何が起こっているのか知るすべがない。加えて、早く沈静化しようとする学校や教育委員会は資料を出し渋ることが多い。大津市も当初はそうだったが、反響の大きさが市の姿勢に風穴を開けた。

 認められた賠償額は、男子生徒が生きていた場合の将来の利益や慰謝料などで、ほぼ請求通りの約3750万円だった。20代の被告にそれだけの支払い能力があるのか、他の事件被害者と比べて妥当なのか、などの議論を呼ぶだろう。

 警察まで乗り出し、「いじめ防止対策推進法」制定のきっかけとなった事件である。何が問題点なのかを把握して再発防止につなげるためには、学校や教委が事実の解明に全面的に協力する姿勢が欠かせない。

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