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社説

ホンダの英国撤退 最後の警報が鳴っている

 ホンダが英国からの撤退を発表した。欧州唯一の四輪車工場で、2021年中に生産を終えるという。

     理由は複合的なものだろう。とはいえ、英国の欧州連合(EU)離脱は無関係だとするホンダの説明を額面通り信じるのは難しい。数カ月前、同社の欧州幹部は、新たな通商協定がないままのEU離脱について、「打撃の全体像は想像もつかない」と強く懸念していた。

     ホンダよりはるかに大きな打撃を受けるのは英国の方だ。

     ホンダの英国生産は、小型車「シビック」を中心に年間約16万台(昨年)である。同社にとっては、世界生産の3%程度だ。一方、英国にとってホンダの16万台は、国内自動車生産の約1割を占める。

     ホンダは他の地域に生産を移転できるが、部品メーカーなども含むホンダ関連の撤退により仕事を失う数千人が、代わりの職場を探すのは容易ではないだろう。

     しかも、事業縮小や英国からの撤退を決める企業は、ホンダが最後とならないはずだ。影響は、これからいよいよ鮮明になってこよう。

     ホンダの生産終了については、メイ首相や民間企業担当相が、「失望」や「失意」を表明したというが、おかしな話である。

     EUとの交渉期限が来月末だというのに、なお「離脱後」の姿を展望できない。与野党間の対立に限らず、肝心の与党がいまだに分裂したままだ。グローバル企業にとって、数カ月後の状況さえ全く見通せない市場が有望な投資先と映るだろうか。英国に深く関わってきた企業こそ、「失望」しているはずだ。

     今、鳴り響いている警報を真剣に聞こうとしなければ、英国は長期にわたり後悔することになるだろう。EUからの離脱によって失うのは、雇用に限らない。外国企業が持ち込む生産手法や経営ノウハウ、労使関係など、広範にわたる活力の源を自ら手放すことになるのである。

     なぜ多くの外国企業が英国に進出したのかを、今一度、自問してほしい。日本の自動車メーカーが典型だが、巨大なEU市場への自由な入り口として魅力だったことが大きい。

     その魅力がうせたらどうなるか。残された時間は限られるが、まだ間に合う。

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