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ベネズエラ国境「娘に薬を」 政情不安、逃げる人々

国境のシモン・ボリバル橋を渡り、入国するベネズエラの難民ら=コロンビア北部ククタ郊外で2019年2月20日、山本太一撮影
コロンビアのククタ

 【ククタ(コロンビア北部)山本太一、写真も】「この子のインスリンが手に入らない。どうすればいいのか」。南米ベネズエラからコロンビア北部の街、ククタに逃げてきたルース・マリナさん(43)は、小児糖尿病を患う次女マリア・アリアスさん(12)を見つめ、嘆いた。

     アリアスさんは、日に数回のインスリン注射が必要だが、残りは数週間分しかない。看護師のマリナさん自身、全身に広がるがんの病と闘いながら、医薬品不足のベネズエラに絶望しアリアスさんを連れ2人で18日に国境を越えた。宿代を払えず野宿をしながら、キリスト教系団体の難民支援施設で食事などの提供を受け、か細い希望をつなぐ。

     この施設から約200メートル離れたベネズエラ、コロンビア国境のシモン・ボリバル橋は、マドゥロ政権下の深刻な経済混乱のため多い日で1日数千人の難民・移民が連日、ベネズエラからコロンビア側に脱出する。橋は人が往来できるほどの大きさで、検問所はあるが、通行はチェックされず事実上のフリーパスだ。

     記者が訪れた20日、ベネズエラ野党の国会議員候補者だったビルカ・フェルナンデスさん(37)ら約10人が「仕事と健康がほしい」「独裁者マドゥロは出ていけ」と声を上げ、ボランティアを募集するチラシを配っていた。先月、暫定大統領に就任宣言したグアイド国会議長が呼びかけた、支援物資の搬入に協力するためだ。

     拘束され2年半服役した経験を持つフェルナンデスさんは、「独裁に反対する活動をしただけで捕まった。表現の自由はない」と話し、グアイド氏への政権移行に期待する。呼びかけに答え、米国などが提供する支援物資を持って、自らの出身地、西部メリダまで帰郷する考えだ。

     コロンビアやブラジルなど国外からの支援物資搬入は、グアイド氏の就任宣言から1カ月後の23日に予定。マドゥロ政権側は「米国の支援は中立でなく、政権転覆を狙うショー」と反発し、シモン・ボリバル橋の北約5キロにある幹線道路のティエンディタス橋を封鎖するなど阻止する姿勢を鮮明にしている。一方グアイド氏は政権を支える軍に物資搬入を妨げないよう呼びかけ強行する構えを見せており、ククタでは緊迫した雰囲気が高まっている。

    ベネズエラの政情不安

     南米の産油国ベネズエラは、反米左派のチャベス前大統領が2013年に死去後、原油価格下落や経済失政などの影響で、昨年のインフレ率が100万%超ともされる経済危機に陥っている。チャベス氏の後継のマドゥロ大統領(56)は昨年5月に再選されたが、野党は「選挙で野党有力候補者を排除した」と主張。今年1月23日、「マドゥロ氏は正統大統領ではない」として野党指導者のグアイド国会議長(35)が暫定大統領就任を宣言し、「2人の大統領」が並び立つ異常事態になっている。米国や欧州主要国などがグアイド氏を承認する一方、ロシアや中国がマドゥロ氏支持を表明。「欧米」対「中露」の対立構図にもなっている。

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