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社説

配偶者間の暴力 被害の根深い実態直視を

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 夫婦や内縁関係など配偶者間の暴力(DV)が深刻な広がりを見せている。全国のDV相談支援センターには毎年10万件以上の相談が集まる。DVを目撃した子どもの心身が深く傷つくこともわかっている。

 表面化するのは氷山の一角だ。内閣府の調査では、DV被害を受けた人の半数以上がどこにも相談していない。加害者から精神的に支配され、「大したことではない」「殴られる自分も悪い」と思い込んでいる人が多いという。心身のストレスで仕事ができず、経済的な理由で別れられないという人もいる。

 DVの深刻さを社会全体で認識し根絶に向け取り組まねばならない。

 2001年にDV防止法が制定され、全都道府県で相談窓口が拡充されてきた。身の危険がある場合は被害者に一時保護所が紹介され、裁判所は加害者に退去や電話・メール禁止などの保護命令を出す。

 ただ、一時保護は入所要件が厳しいこともあって利用者は増えていない。被害者への治療やケアの体制も不十分と指摘されている。

 「忘れられた被害者」と言われてきたのが子どもだ。DV家庭で育った子は自己肯定感が低く、ひきこもりや自傷行為など問題行動が多く見られるという。周囲とトラブルを起こし、非行に走る子も少なくない。しかし、同法には子どもの救済や支援についての規定がない。

 DVの目撃が子どもへの心理的虐待と認定されたのは、04年の児童虐待防止法改正からだ。最近は警察から児童相談所(児相)への虐待通告が急増しているが、その半数近くはDVの目撃である。

 一方、児相は身体的虐待を想定したチェックリストで被害の度合いを測るため、DVの目撃についての緊急性や重大性が適切につかめないことが多い。DVで精神的に支配された母親が、父親の子どもに対する虐待を児相に証言できず、隠したり加担したりするケースさえある。

 千葉県野田市で小学4年の女子が虐待死した事件も、東京都目黒区での5歳女児の虐待死事件も、母親がDV被害にあっていることを児相が気づきながら適切な対応ができなかった。DV家庭の特性を十分に把握した上で、リスクに見合った対処方法を確立する必要がある。

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