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モリシの熊本通信

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生活再建に取り組める環境を /佐賀

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 熊本地震の発生から2年10カ月。熊本地震で自宅を失い、仮住まいをしている被災者が、初めて2万人を切ったとのニュースがつい最近入ってきた。

 熊本県の発表によると、プレハブなどの建設型仮設や「みなし仮設住宅」で生活する人は、1月末時点で1万9193人(8474世帯)。ピークだった2017年5月末の4万7800人から減り続けており、被災者の生活再建が進んでいることがうかがえる。

 一方で、こんなニュースもあった。賃貸アパート大手の物件で、施工不良が相次いで見つかった問題。この施工不良の物件に、県内のみなし仮設住宅2戸(2世帯3人)が含まれていたと県が発表した。

 改めて確認しておくと、みなし仮設住宅は、民間賃貸住宅を自治体が借り上げて被災者に無償で提供する制度。全壊や大規模半壊によって居住する住居がない被災者などが、この制度を利用することができ、熊本地震でも多くの世帯が制度を利用した。

 県のホームページによると、「みなし仮設住宅」は、「応急仮設住宅としての使用について貸主から同意を得ているもの」「管理会社等により賃貸可能と確認されたもの」「家賃が原則6万円以下(対象世帯が乳幼児を除く5人以上の場合は9万円以下)」の3条件を満たす必要がある。

 筆者は、みなし仮設住宅で暮らす被災者への取材を続けているが、取材対象はいつも慣れない環境へのストレスを口にする。仮住まいは、それまでの生活とは環境や人間関係が一変し、ただでさえストレスが溜(た)まる。どうにかみなし仮設住宅の3条件に該当する物件を見つけて入居し、生活再建を進める中で、こうした施工不良問題が起きた。被災者の不安は想像に難くない。

 熊本地震で自宅を失い、再建困難な被災者の恒久的住まいである災害公営住宅(復興住宅)の整備が進むなど、県全体が復興へ向けて着実に前進している。今回の問題はそれに水を差すような事案であったが、どんな時でも被災者が安心して生活再建に取り組める環境となるよう、関係各所には対応をお願いしたい。


 ■人物略歴

田中森士(たなか・しんじ)

 マーケティング会社「クマベイス」(熊本市)代表取締役、ライター。熊本県立高常勤講師、全国紙記者を経て古里の熊本市で起業した。熊本地震後は、復興支援活動に携わりながら、執筆やイベントを通し、被災地の現状を伝えている。モリシは愛称。熊本市南区在住。

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